メラニン細胞からするとシマウマは「黒地に白縞」
シマウマのデフォルトの毛色は、発生過程を調査することで判断できます。
2005年の研究によると、シマウマの白と黒の毛はどちらもメラニン細胞で満たされた毛包から生えているようです。
この細胞は毛や皮膚の色を決定する色素「メラニン」を生成しています。
メラニンが多いと黒やダークブラウンなどの暗い色になり、少ないと白やブロンドなどの明るい色になるのです。
同様に、シマウマの黒毛にはメラニンがたくさん含まれており、白毛にはメラニンが含まれていません。
つまりシマウマの白毛を作る毛包では、メラニン細胞が「オフ」の状態になっており、色素を作り出さないのです。
キャロ氏も「白毛発生時にはメラニン生成が阻止されるが、黒毛発生時には阻止されない」と述べています。
ブリタニア百科事典はこの発生プロセスから、「シマウマのデフォルトは黒毛を作り出す状態だと言えるので、黒地に白縞と表現できる」と結論付けています。
またメラニン生成が阻止される詳細プロセスは解明されていませんが、縞模様の役割は明らかになってきています。
2020年の研究では、シマウマの縞模様によって、アフリカのアブがシマウマに着地しづらくなると判明しました。
これらのアブは動物に嚙みついて致命的な病気を感染させるため、シマウマは縞模様によって病気から守られていたことになります。
つまり黒色がデフォルトのシマウマは、全身黒毛になれるにもかかわらず、生存率を向上させるためにあえてメラニン色素を縞模様に抑制していたのですね。