環境に合わせて「耐寒レベル」が変幻自在?
チームは、2つの仮説を立てました。
1つは、アオナガタマムシが侵入してわずか数年で、ウィニペグの厳しい冬を生き残るよう進化したこと。
もう1つは、厳しい寒さに対応するために生理機能をすばやく変化させたことです。
そこで実験として、ウィニペグの個体群を採取し、「ロンドン条件」と「ウィニペグ条件」の2つの環境グループに分け、飼育しました。
その結果、ロンドン条件ではロンドンレベルの耐寒性を、ウィニペグ条件ではウィニペグレベルの耐寒性を持つよう変化したのです。
これは、アオナガタマムシが環境に合わせて生理機能をすばやく変更できることを示します。
「昆虫が柔軟な耐寒性を持つことは以前から知られており、これが外来種の拡散を予測する際の障害となっていましたが、この結果は予想を数段階も上回るレベルの柔軟性です」とシンクレア氏は指摘します。
また、同チームのアマンダ・ロー(Amanda Roe)氏は「この寒冷に対する柔軟性ゆえに、アオナガタマムシはトネリコの生育する場所ならどこでも適応可能でしょう」と付け加えました。
本研究の成果は、アオナガタマムシの拡散を予測しようとする科学者にとって、重大なものとなります。
これほど柔軟かつ極端な耐寒性を持つことは、彼らが拡散できる範囲が予想以上に広いことを意味するからです。
アオナガタマムシは、まさに最強クラスの適応力を持った甲虫と言えるかもしれません。