「ニュートンのリンゴの木」はクローン再生で世界各地に子孫を残した
逸話の元になったリンゴの木は、1814年に老衰のため伐採されたため、現存はしていません。
しかし、その木で作られた椅子と材木が、英国王立協会に保管されているといいます。
それより重要なのは、伐採前に接ぎ木で増殖させた苗木が「ニュートンのリンゴの木(Newton’s Apple Tree )」として世界各地に渡ったことです。
接ぎ木は原木のクローンを作り出す重要な技術で、農業でもよく使われています。
おかげで、オリジナルのリンゴの木は連綿と続く子孫を維持することができたのです。
そのうちの1本が1954年にケンブリッジ大学植物園の入り口に植樹されました。
同大の研究チームは最近、この木のゲノム解読を行い、オリジナルの原木や他の子孫たちと遺伝子が一致していることを確認しています。
そして2022年2月19日、イングランドを襲った暴風雨「ストーム・ユーニス(Storm Eunice)」により、68年間この地に立ち続けたリンゴの木が根元から倒れてしまいました。
木はすでに枯れており、近々、撤去と交換の計画が立てられていたといいます。
ただ、それを見越していたおかげもあって、過去3年のうちに接ぎ木を行い、2本の子孫が予備として残されていました。
チームは、木が枯れた原因と見られるナラタケを避けるため、また別の場所に植樹する予定です。
倒木は現在、庭園から撤去されており、木材をどうするかは追って決定するとのこと。
木は倒れてしまいましたが、接ぎ木の技術によって、今後もニュートンのリンゴの木は代々受け継がれていくことでしょう。