ラフレシアが「幻の花」と呼ばれる理由
強烈な匂いを放つ「ラフレシア」は、マレーシアなどに分布する植物であり、現在十数種の存在が確認されています。
この植物の大きな特徴は、直径90cmにも達する赤い花であり、それゆえ「世界最大の花」としてよく知られています。
ラフレシアの花の画像を見たことがある人は多いでしょう。
ところが同時に、ラフレシアは「幻の花」とも呼ばれています。
その理由はラフレシアの特殊な生態にあります。
まずラフレシアは葉や茎、根をもたず、光合成もできません。
そのため他の植物に寄生することで、必要な養分を得ています。
自分で光合成しながら他の植物にも寄生する「半寄生植物」はそれほど珍しくありませんが、ラフレシアのように完全に他の植物に頼っている「全(完全)寄生植物」は稀有な存在なのです。
またほとんどの人は、ラフレシアの開花を実際に見たことがありません。
なぜなら開花は数日しか続かず、すぐに枯れてしまうからです。
さらにもともと生息域が限られているだけでなく、その個体数も減少しています。
まさにラフレシアは、知名度だけは高い「幻の花」なのです。
ちなみにラフレシアの花言葉は「夢現(ゆめうつつ)」であり、この言葉も「幻の花」を表すにはピッタリだと言えますね。
こうした背景にあって、研究チームは、マレーシア・サラワク州ナハ・ジャレー地域を調査しました。
そして、その地域に生息するラフレシアの新たな個体群から、成長過程を明らかにしたのです。