健康目的の筋トレは「週30~60分」を過ぎると効果が減少すると判明!
これまでの研究によって、筋肉トレーニング(筋トレ)のさまざまな健康効果が報告されています。
筋トレに従事することで、がんや心臓病を予防し、全体的な死亡リスクを低下させる効果も認められています。
しかし健康効果を目的とした筋トレにどの程度の時間を費やすべきかは、あまり調査されていませんでした。
そこで今回、東北大学をはじめとした研究グループは、健康効果と筋トレ時間の関係を調べるために、複数の研究を総合した分析(メタ解析)を行いました。
すると、死亡・心血管疾患・全がんのリスクを最も低下させる最適な筋トレ時間がそれぞれ
死亡リスクが最低になるのは週40分(1日換算で約6分)
心血管疾患リスクが最低になるのは週60分(1日換算で約9分)
全がんリスクが最低になるのは週30分(1日換算で約4分)
になることが判明します(低減率は10%~20%)。
しかし、それよりも筋トレ時間が過ぎていくとプラス効果は減少していき、
死亡リスクは週140分(1日換算で20分)
心血管疾患は130分(1日換算で約19分)
全がんは130分(1日換算で約19分)
が分岐点となって、全く筋トレを行わない場合とリスクが等しくなり、さらに超過するにしたがって逆にリスクが高くなっていきました。
一方で、糖尿病のリスクにかんしては単純で、筋トレ時間が長いほどリスクも低くなっていきました。
これらの結果は、健康目的の筋トレには最適な時間があり、やりすぎると逆に、がんや心臓病のリスクを高め早死につながることを示します。
ただし、今回の研究はメタ解析という複数の研究データをまとめたものであり、得られた結果は臨床結果ではなく観察結果にすぎません。
研究者もこの点については注意するよう付け加えています。
複雑な要因を考慮した上で、完全な証拠が示された話ではないので、単純に週140分以上の運動が体に悪いという理解の仕方は問題があるかもしれません
しかし現在、日本などの一部の国では筋トレを身体活動のガイドラインに組み込むべきかどうかの議論が進んでいるので、本研究はそうしたガイドライン策定において1つの指標となるでしょう。