単為生殖のメリットとデメリット
進化生物学者たちは、これまで、W. ヴィルゴのような単為生殖種が少ないことに疑問を抱いてきました。
なぜなら、オスとメスの有性生殖には多くのコストがかかるからです。
第一に、オスだけでは繁殖できないのに、子孫の半分がオスになる必要があるのは”進化上の無駄 “とみなせます。
第二に、交尾相手を見つけるのに時間と労力が必要で、探している間に、天敵に食べられることも少なくありません。
オスをなくし、メスだけで繁殖できれば、こうしたデメリットもなくなります。
では反対に、有性生殖のメリットは何でしょうか?
最大の理由は、交尾の結果生じる遺伝子の「組み換え」にあります。
オスとメスの遺伝子が混ざることで、種の遺伝的多様性が豊かになり、病気への耐性や環境への適応力が大きく高まります。
それから、生存にとって不利な突然変異を集団から排除する役割もあります。
対照的に、単為生殖にはこうしたシステムがなく、すべての子孫が母親と同じ遺伝子を受け継ぎます。
そのため、遺伝的多様性に乏しく、環境が変化したときの適応力が低下したり、病原菌に感染すると全滅する恐れもあるのです。
さらに、単為生殖は、不利な突然変異を排除できず、世代ごとに蓄積してしまうリスクもあります。
では、このような単為生殖のデメリットは、W. ヴィルゴにも表れているのでしょうか?