「聖杯」の効果範囲を拡大する
今回の研究により、免疫システムと腎臓の二重移植が成功し、被験者となった子供たちは免疫抑制剤なしに完全な健康を得られることが示されました。
声明では、3人の子供たちは感染やがんに怯えることなく学校に通い、休暇を楽しみ、スポーツに打ち込んでいると報告しています。
また親から移植された正常な免疫システムと腎臓のお陰で、子供たちが抱えていた遺伝病(SIOD)の影響が完全に消え去ったことも判明しました。
被験者だったクルス君とペイズリーちゃんの母親は「2人は奇跡の道を歩んでいる」「他の同じ病状をかかえる家族にも同じ素晴らしい効果を得てほしい」と述べています。
成功の背景には、子供たちの免疫力が先天的に低かったために、移植された免疫システムが働きやすかった、という事実があるのは確かです。
しかし研究者たちは今回の研究で開発された手法を、腎臓だけでなく、他の幅広い臓器移植のオプションとして利用できる可能性があると述べています。
提供者の免疫システムと患者の免疫システムを上手く融合させることができれば移植技術の「聖杯」は、多くの人々に共有されるものになるでしょう。
もしかしたら未来の世界では、誰もが臓器移植を長期に及ぶ免疫抑制剤なしに行えるようになるかもしれません。