絶滅したガンギエイの親戚は歯のようなノコギリを持っていた
そこで今回、ペンシルベニア州立大学の研究者たちは、恐竜と同時期に絶滅した「古代のノコギリエイ(I.mira)」を調べることにしました。
(※最も近い現存する系統はガンギエイだと考えられています)
この奇妙な古代のエイは、現在のノコギリザメやノコギリエイに似た外見を持つエイの一種であり、鼻先に巨大なノコギリ状の構造を持っています。
エイたちは巨大なノコギリを使って自分より大きな捕食者と戦ったり、電気の流れを探知することで獲物をとらえるセンサーとして利用していたと考えられています。
しかしこのノコギリ、ワニのようにパカっと開くかと言えば、そうではありません。
ノコギリは一見すると「凶悪化したワニ」のように口内の歯が飛び出たものに見えますが、実は本当の口は根元の裏側に控えめに開いています。
そして刃の正体も体を覆う小さな歯「皮歯」が巨大化したものであり、口内の歯とは明確に区別されています。
つまり、皮歯と歯の中間的な要素を備えている候補として最適だったのです。
これまでは、刃の内部構造も盾鱗と同じく、エナメル質からなる簡単な構造だと考えられていました。
しかし研究者たちが内部構造を調べたところ、現在のサメの歯に似た複雑な構造をとっていることが判明します。
研究者たちは、論文において、本来は皮歯である部分に歯と似た構造がみられる点について「ウロコ(皮歯)は歯のような複雑なエナメル質構造を作れる可能性が示唆される」と述べています。
ヒレから変化した手足、浮袋から変化した肺、ウロコから変化した歯など、現在の私たちを形作るさまざまな基本パーツが魚の体に凝縮しているのは非常に面白い事実だと言えるでしょう。