「じぶんフォント」にはどんな特徴がある?
これまでの研究で、ディスレクシアの人にとっては、フォントの変更が読みづらさの軽減に役立つことがわかっており、英語圏ではすでに、ディスレクシア対応フォントの実用化が進んでいます。
日本国内でも、東京工業大の朱心茹(しゅ・しんじょ)氏が、ディスレクシア対応の日本語フォントの研究や試作を進めています。
その一方で、日本語の情報処理において、最低限必要とされる約7000字のフォント開発には、大きな負荷がかかっていました。
そこでDNPは、独自に開発したオリジナル書体である「秀英丸ゴシック」をベースに、朱氏と協力し、新たな「じぶんフォント」の開発をスタート。
開発にあたっては、Webアクセシビリティ技術を有するファシリティジャポン、フォント開発やWebフォントの配信技術を有するリアルタイプとも連携しました。

ディスレクシアの症状は人によって様々であり、「文字が踊ったり、ねじれるように感じて、どこにどの文字があるか分からない」とか、「字間が広いと読めるが、狭いと誤読が増える」「黙読が苦手で、本を読んでいるとすぐに疲れる」などがあります。
そこでチームは、ディスレクシアの人に協力してもらい、試作したフォントの評価・分析を行って、どういったフォントが読みやすく、好まれるかを調べました。
その結果、ディスレクシアの人が好む3つの傾向が判明しています。
(1)文字の下部が太い
(2)全体が細め
(3)全体が縦長で太め
これを踏まえて、チームは「どっしりまるご」「すっきりまるご」「はっきりまるご」の3種類のフォントを作成しました。
それがこちらです。

さらに、これらは、画線がシンプルで、先端や角が丸い「秀英丸ゴシック」をベースにしているため、デザインが手書きに近く、字間にもゆとりがあります。
具体的には、「い」は平たく、「く」は縦長にするなど、形状やサイズを整えすぎないようにしました。
こうした特徴は、読み書きに困難がある人に好まれる形状であることが、朱氏の研究で明らかになっています。
では次に、「じぶんフォント」を実際に体験して、自分に合ったフォントを探してみましょう。
「じぶんフォント」を実際に体験してみよう!
「じぶんフォント」は、文字の読み書きが困難なディスレクシアだけでなく、多様な見え方を持つすべての人々にとって読みやすく、個々人に合ったフォント提供したいという想いから開発されました。
そこで研究チームは、どなたでも「じぶんフォント」の読字体験ができるWebサイトを公開しています。
サイト上では、アンケートに答えて、多様なフォントと見比べながら、自分に合ったフォントを見つけることができます。
読字体験サイトのURLはこちらです。 https://www.jibun-font.com/
チームは、このアンケート結果から研究を進め、「じぶんフォント」のブラッシュアップと実用化を目指します。

フォントを変えることの利益は、何もディスレクシアの人に限ったことではありません。
たとえば、米セントラルフロリダ大学(UCF)の最新研究により、フォント(書体)を自分に合った形式に変えるだけで、読むスピードを簡単に速められることが判明しました。
この方法では、読む内容の理解度はまったく落とさずに、読書速度を最大35%も速められるとのことです。
DNPは今後、「じぶんフォント」の改良を続け、より有用なフォントの開発を進めるほか、ユーザーが読みやすい文字の形へと自由にカスタマイズできるシステムの開発と普及に取り組む予定です。
加えて、高齢者や非母語話者にも配慮したコミュニケーション支援の技術やサービスの構築を行い、同グループが目標とする、多様な人々が暮らしやすい「ユニバーサル社会の実現」を目指すとのことです。





















