コロナ感染者の急増は「Amazonのレビュー」に反映されていた!
問題となっている商品は、アメリカで最も人気のアロマキャンドルブランド「ヤンキーキャンドル(YANKEE CANDLE)」です。
ヤンキーキャンドルは、世界50カ国以上で販売されており、「スパイスパンプキン」や「ウォームアップルパイ」など、600種類以上の豊富な香りを取り揃えています。
しかし、2020年の感謝祭(11月26日木曜日)の数日前、アメリカ在住のあるTwitterユーザーが、Amazonサイトにて、「ヤンキーキャンドルに匂いがない」と訴える否定的なレビューが急増していることに気づいたのです。
「もしかして、コロナパンデミックの隠れた予兆なのだろうか」と、そのユーザーは考えたという。
実際、Amazonには10万件を超えるレビューが寄せられており、疫学的にも有用なデータとなり得ます。
このツイートは当初、冗談として流されたものの、今年に入ってから、正式な研究により検証されることとなりました。
調査を請け負ったのは、米ノースイースタン大学の政治・統計学者であるニック・ビーチャム(Nick Beauchamp)氏です。
ビーチャム氏は、ヤンキーキャンドルのレビュー約1万件と、コロナ発症件数のデータとの相関性について分析。
その結果、1週間に10万人の新たなコロナ患者が増えるごとに、「匂いがしない」という低評価レビューの件数が0.25%増加することが判明したのです。
また、低評価レビューの増加が、単に冬時期にキャンドルを買う人が多いからではないことを確認するため、季節性をコントロール。
他にも、「いい香りがする」という高評価レビューと、コロナ感染者数との相関関係も調査しました。
これらを考慮しても、結果に変化がないことが確認されています。
さらに、両者の相関関係は、2022年の初頭においても継続していました。
その一方で、ビーチャム氏は、「匂いがしない」レビューとコロナ感染者数との間に、有意な予測関係は見つからなかったと指摘。
よって、低評価レビューは、パンデミックのデータを予見するというよりは、むしろ感染者数の急増を「鏡のように反映しているだけ」であると結論しています。
それから、感染者の1例目は、2019年12月初旬に、中国の武漢市で確認され、その後、世界保健機関(WHO)が、新型コロナウイルス感染症を「パンデミック(世界的な大流行)」と認定したのは、2020年3月11日です。
レビューとの相関関係が発覚したのが2020年の11月で、ビーチャム氏の調査はそれ以降に焦点を当てたものですから、「匂いがしない」レビューの急増が、コロナパンデミックの始まりを世界に先駆けて予兆していたわけでもありません。
ところが、2022年現在、その事情もすでに変わり始めているようです。