現在の目の移植は「角膜移植」
現代医療において「目の移植」と言った場合、それは一般的に角膜移植のことを指しています。
角膜とは目の前面中央部(日本人では黒目の部分)を覆う透明な組織です。
角膜は入ってきた光を屈折させて網膜(目の奥にある光を感じる層)上で焦点が合うようしたり、目を保護したりするのに役立ちます。
そのため角膜が弱くなったり傷ついたりすると、視界がぼやけ、目の病気につながります。
点眼などによる治療が可能ですが、難しい場合には角膜移植が行われます。
ヒトで初めて角膜移植が成功したのは1905年であり、火傷を負った45歳の農場労働者に対して、目の見えない(角膜は正常に機能している)11歳の子供の角膜を移植しました。
現在では、ドナーを必要としない「人工角膜移植」も可能であり、さまざまな研究が進められています。
このように角膜には左右の差がないため、角膜移植をするという話の場合には、右眼から左眼への移植ということも可能になります。
しかし、角膜移植が解決するのは角膜に起因する問題だけです。
視神経の衰えや網膜の細胞減少による視力低下を回復させることはできません。
これを解決するには、眼球をそのまま移植する「眼球移植」が必要となりますが、眼球の場合には左右を無視した移植は可能なのでしょうか?