ドローンのレーザー給電に成功!着陸不要の「長時間のドローン作業」が現実に
ドローンの弱点は「飛行時間の短さ」にあります。
小型ドローンが空を飛ぶには、重くて大きなバッテリーを採用することができないからです。
軽量化や効率化の研究が進んでいる現在でも、一般的なトイドローンの飛行時間は10分未満、高価な産業用ドローンの飛行時間が30分程度です。
人間と共同するためにフルタイムで8時間駆動させる場合、16回も作業を中断しなければいけないのです。
プロモーションビデオの撮影など、短時間の作業であれば問題ないですが、監視や調査、警備などの長時間の仕事に投入するのは難しいでしょう。
こうしたドローンの弱点を克服したのが、シュイロン氏ら研究チームです。
彼らが開発した新しいドローンは、底面に「光電変換機」が取り付けられています。
この部位にレーザーを照射することで、ワイヤレス給電を可能にしました。
これにより、バッテリー充電のために着陸する必要がなくなります。
研究チームは新技術の変換効率を明らかにしていませんが、一般的なレーザー給電の数値(20~30%)を考えると、従来の方法(モバイルバッテリーの変換効率は70~95%)と比べてかなりエネルギー効率が悪くなると考えられます。
それでもドローンを稼働させ続けられるメリットからすると、損失レベルは許容できる範囲でしょう。
また研究チームは、長距離の連続伝送を実現させるため、視覚追跡システムやレーザー出力を安全な範囲で自律的に調整するシステムも設計しました。
これにより、大気の密度変化や乱気流による悪影響を軽減し、安定したエネルギー伝送が可能になります。
そして屋内・屋外の両方で実施されたテストでは、新しいドローンを高度10mで飛行させ続けることに成功しました。
レーザーが届く範囲では「いつまでも空中に留まる」ことができるのです。
研究チームは今回の開発に基づいて、新しいドローンシステムの略図も公開しています。
街中や船上などにレーザー照射デバイスを設置することで、「広範囲でドローンが活動し続ける」というのです。
これが実現するなら、災害救援、配送、警備など、さまざまな仕事にドローンを投入できるでしょう。
また「都市を複数のドローンで監視・防衛する」「戦車を拠点にして、その周囲を軍事ドローンが飛び回る」などの軍事利用も可能だと考えられます。
そして現在、「飛行し続けるワイヤレス給電ドローン」を開発しているのは、アメリカのPowerLight社など、中国だけではありません。
ドローンの長時間活動が可能になれば、SF作品に描かれるような常にドローンが街中を飛び回る光景も当たり前になって行くかもしれません。