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HIVの「画期的な新薬」によってゲイ間のコンドーム使用が著しく減少している

2018.06.07 Thursday

Point
・1日1錠「ツルバダ配合錠」を服用してHIVの感染を防ぐ “PrEP” が、欧米を中心に流行中
・これによりゲイ間のセックスにおける「コンドーム使用」が著しく減少
・“PrEP” も完璧ではないため、依存しすぎないように注意する必要がある

HIV感染予防法として知られる “PrEP(暴露前予防投与)” をご存じですか?

近年、欧米を中心に広がりをみせるこの方法 “PrEP” は、原則として1日1錠、抗ウイルス薬の一つである「ツルバダ配合錠」を服用するといったシンプルなもの。これにより、もし体内にHIVが入り込んだとしてもウイルスが増殖しない環境を作り出すことが可能になるのです。

研究により90%以上の感染リスクが防げることがわかっているこの方法ですが、オーストラリアの研究者が、この「画期的」な方法の流行によりゲイやバイ・セクシャル間のセックスにおいてコンドームの使用量が激的に減少していることを明かしています。

Community-level changes in condom use and uptake of HIV pre-exposure prophylaxis by gay and bisexual men in Melbourne and Sydney, Australia: results of repeated behavioural surveillance in 2013–17
https://www.thelancet.com/journals/lanhiv/article/PIIS2352-3018(18)30072-9/fulltext

研究では、シドニーとメルボルンにおいて過去五年間で男性同士のセックスを経験した人たちが対象となりました。3,000人以上に調査をおこなった結果、2013年から2017年の間に“PrEP” の利用者は2%から24%に上昇。また、同じ期間に “PrEP” 利用者の、パートナーとのアナル・セックスの際にコンドームを使用しない割合は1%から16%に急上昇しました。

研究を率いたニュー・サウス・ウェールズ大学のマーチン・ホールト教授は、「“PrEP” はHIV予防のゲーム・チェンジャー(画期的な方法)として登場しました。しかし、これによるコンドーム使用率の低下は、長い目で見ればその有効性を阻害してしまう可能性があります」として警鐘を鳴らします。

“PrEP” も完璧ではありません。日常的な薬の服用がなければその効果は発揮されず、毎日の服用があったとしても100%感染を防げるわけではありません。さらに、他の性感染症が予防できる注意が必要です。

海外ではよく知られている“PrEP”ですが、ツルバダのHIV予防薬としての使用は日本では認められていません。しかしLGBTへの理解も進んできた昨今、行く行くは上陸してくるかもしれませんね。たとえその日がきても、この方法に依存しないように注意が必要です。

via: independent / translated & text by なかしー

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