ポジティブな言葉は「左耳」から話すと脳がより強く反応する!
ポジティブな言葉は「左耳」から話すと脳がより強く反応する! / Credit: canva
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「右脳に響くから」は古い知識?ポジティブな音声は「左」から聞くと効果的!

2023.05.23 Tuesday

励ましや応援、エロティックな言葉は、左耳から語りかけると効果が高まるかもしれません。

スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)はこのほど、ポジティブな感情を誘発する発声音は左耳から入ることで脳がより強く活性化することを発見しました。

これだけを聞くと「右耳から入った情報は左脳に、左耳から入った情報は右脳に届く」というよく知られた学説を想起されるかもしれません。

一般に右脳は感情や直感と、左脳は論理的思考と大きく関係するので、左耳から入った音声ほど感情を活性化させやすいことが20年以上前から指摘されてきました。

しかし今回の結果はそれとは違います。

というのも、左耳から入ったポジティブな発声は、右脳と左脳の両方に存在する「一次聴覚野」を強く活性化させたからです。

研究の詳細は、2023年5月19日付で科学雑誌『Frontiers in Neuroscience』に掲載されました。

Our brain prefers positive vocal sounds that come from our left https://blog.frontiersin.org/2023/05/19/our-brain-reacts-more-strongly-to-positive-human-sounds-if-these-come-from-our-left/
Emotional sounds in space: asymmetrical representation within early-stage auditory areas https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fnins.2023.1164334/full#h4

私たちは「音」とどう関わっているのか?

私たちにとって「音」は、振幅や周波数といった物理的な側面を超えた「意味」を持っています。

人の声にしても環境音にしても、それが心地いいか不快であるか、安心できるか警戒すべきかなど、多様な受け取り方をしているからです。

たとえば、笑い声や明るい音楽を聞くと嬉しくなり、泣き声や暗い曲を聞くと悲しくなることが多いでしょう。

つまり、あらゆる音は私たちに、ポジティブ・ネガティブ・ニュートラル(中立)といった「感情的価値(emotional value)」を誘発します。

あらゆる音は私たちにとって「感情的な価値」を持つ
あらゆる音は私たちにとって「感情的な価値」を持つ / Credit: canva

そしてこの音の生み出す感情的価値は、音の種類だけでなく、聞こえてくる方向によっても変化することがわかってきています。

EPFLの研究チームは以前の調査で、人は後方から聞こえてくる音により敏感に反応しやすいことを発見していました。

実験では、後方から近づいてくる音を聞かせると、前方や左右から同じ音を聞かせたときよりも、警戒心や不快感、興奮度が大きくなったのです。

「これには進化上のメリットがある」と研究者は指摘します。

たとえば、先史時代の人類は、無防備な背後から近づいてくる獣にいち早く気づく必要があったはずです。

現代の我々でもカツカツと響く靴音などは、前方から聞こえて来たときより、後方から聞こえて来たときの方が強く不安を感じるでしょう。

このように、音が聞こえてくる「方向」によっても私たちの感情は異なる反応を示します。

そして同チームは今回、この「音の感情的価値」と「それが聞こえてくる方向」の関係性について新たな発見をしました。

それが、ポジティブな感情を誘発する発生音は、左耳から入ったときにを最も強く活性化させるという事実です。

この決kは、どのような実験から導かれたのか、次に見ていきましょう。

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