変化への恐れが妨害行為につながる
なぜ人は、サボタージュや共謀により、愛する人の目標達成を阻んでしまうのでしょうか。
オグデン教授は、これらの行為は、システム理論やホメオスタシス(恒常性維持)の概念を通じて理解できると述べています。
ホメオスタシスは、もともとは生物が体内の環境を一定に保ちつづけようとする傾向のことを指す言葉です。例えば、体温や血液中の糖分濃度などが一定に保たれているのは、このホメオスタシスの働きによるものです。
この考え方は、生物学だけでなく、社会学や心理学でも使われるようになりました。そこではホメオスタシスは、家族や友達のような社会的なグループが、常に何らかの秩序やバランスを保とうとする傾向を示す言葉として使われています。
オグデン教授は、以下のように説明しています。
「私たちの人間関係は動的に変化するものです。その中にいる私たちは、自身の行動により関係の安定性を保つよう努力します。しかし、ダイエットのような大きなライフスタイルの変化は、その安定性を揺るがす可能性があります。
変化に直面したとき、「サボタージュ」、「共謀」、「フィーダー行動」などが見られるのは、変化に対抗し、再びバランスを取り戻そうとする自然な反応と解釈できます」
「体重を減らすという行為は、人々に自信を与えたり、人間関係における相互作用を変化させたりと、しばしば大きな変化を引き起こします。そのような変化を歓迎しない人も多く、意識的あるいは無意識に、現状維持を図るために、ダイエットしようとする人の努力を妨害することがあるのです」
ダイエットに成功したいなら、優しく付き合ってくれるだけでなく、対立を恐れずに「ちょっとだけでも走ろうよ」と勇気づけてくれるパートナーに感謝すべきなのかもしれませんね。