イヌの利き手でわかること
前述した通り、利き手によって右脳、左脳どちらの脳を多く使っているかがわかります。
体の動きを司る筋肉は右脳が左側、左脳が右側をコントロールしているため、右利きなら左脳、左利きなら右脳が発達しているということです。
脳が右と左で分かれているのはもちろん人だけではなく、同じ脊椎動物であるイヌも同様ですので、イヌの利き手からも右脳と左脳の発達による違いが出てくることは予想できます。
利き手でわかるイヌの性格
人間の場合、右脳は直観的な思考、左脳は論理的な思考を司ると言われています。
このため、右脳が発達している左利きは天才気質な芸術家肌、左脳が発達している右利きは努力家の学者肌なんて言われたりしますね。
イヌの場合は、どうやら左利きの方が「用心深い」傾向にあるようです。
カナダ・クイーンズ大学のデボラ・L・ウェルズ(Deborah L Wells)氏らの研究によると、イヌにおやつの場所を事前に教え、もう一度繰り返した際に、右利きのイヌは躊躇なく短時間でおやつに向かったのに対し、左利きのイヌはおやつにたどり着くまで時間がかかりました。
何度も道のりがあっているか確認しながら進む様子は右利きのイヌとは異なっており「ネガティブなことを想像する」あるいは「用心深い」性格だと結論付けられています。
人間の場合だと、直観的な左利きの人の方が躊躇なくすすみそうなので、意外な結果です。
両利きとそれ以外では特徴が異なる
また、イヌの場合、利き手がない「両利き」のイヌも多いのですが、右か左の利き手があるイヌと両利きのイヌを比べてもその性格に差がありました。
同大学のシャニス・バーナード(Shanis Barnard)氏らが行った研究では右利き、左利き、両利きのイヌに対し、社交性・攻撃性などの性格特性を調査しました。
その結果、イヌの利き手の左右差では有意な差が見られませんでしたが、両利きのイヌは利き手があるイヌよりも攻撃性や恐怖心が強いことがわかりました。
利き手チェックでイヌのストレスが減らせるかも
このようにイヌの利き手がわかればそのイヌの考え方の傾向や性格特性を知ることができます。
利き手によって性格が違うのですからもちろん様々な適正があり、例えば盲導犬は右利きの方が訓練の成功率が高いそうです。
また左利きのイヌはストレスへの耐性が低く、救助犬などのストレスが多い職業には向かないのだとか。
職業犬でなくても、性格特性がわかれば効果的なトレーニング方法などを知ることができます。
イヌの利き手や左右性を知り、それぞれのイヌに合うトレーニングを行っていけるといいですね。