暑さへの適応:「暑熱順化」で暑さに身体を慣れさせる
適切な水分補給は非常に大切です。無理をせず、適切にエアコンを使用することも、もちろん大事です。
しかし、エアコンの効いた環境で24時間365日生活するのは、現実的な解決方法ではありません。これからの夏も猛暑が続くと予想されている以上、わたしたちはある程度、暑い気候に慣れていかなければなりません。
私たちの暑さへの耐性は固定されたものではありません。研究によれば、7日〜10日程度の「暑熱順化」と呼ばれるプロセスで、体を暑さに慣れさせることができます。
暑熱順化は、身体が生理学的に暑熱環境に適応できるようにすることです。暑い環境での運動耐性が向上し、熱による健康被害のリスクが減少します。
暑熱順化では、血漿量の増加による体温上昇の抑制や、発汗が早くなること、発汗量の増加などが起こります。
暑熱順化により発汗量と発汗速度が高まると、長時間の活動でも体内の熱の貯蔵が最小限に抑えられ、体の冷却速度が高くなります。
暑熱順化は通常、暑くなる前の季節から時間をかけて慣れていくものです。すでに暑くなっているなら、早朝や日没後の暑さがやわらいだ時間に屋外を散歩するなど、短時間でも自然な気温の中で過ごすところからはじめましょう。
ただし「猛暑は人を死に至らしめる危険なもの」であることは、常に心に留めておきましょう。そのうえで、少しでも暑さを楽しめるように体を慣らすようにするのです。
無理のない範囲で体を動かすことは、身体や心の健康に良い影響をもたらしますよ。