オーロラの色は何で決まる?
オーロラの光の色は主に、太陽から飛来したプラズマが衝突する大気の「高度」によって決まります。
例えば、最も多い緑色のオーロラは、高度100〜200kmの大気層にある酸素分子が励起されることで発生します。
緑色の次に多いのが赤色のオーロラですが、これは高度200〜500kmにある酸素分子が励起されることで発生します。
しかし高度200〜500kmの高さになると、大気の密度が薄くなるため、より大規模で強力なプラズマが衝突しなければ電子が励起されません。
そのため、赤色のオーロラは緑色よりも出現率が低くなります。
ちなみに、太陽のプラズマが地球大気の奥深くまで浸透し、そこにある窒素分子を励起させると、珍しいピンク色のオーロラが現れます。
オーロラの裾の方がピンク色に見えるのはこのためです。
一方で、大気中の酸素分子も窒素分子も、励起することでオレンジ色の波長を発することはできます。
ただしオレンジ色の波長は非常に弱いため、より強い赤や緑の波長にかき消されて、可視光とはならないのです。
では、今回観測されたオーロラはどうしてオレンジ色となったのでしょうか?
赤と緑のオーロラが重なった結果
オレンジ色のオーロラは11月25日の午後6時頃(現地時間)、英スコットランドのアバディーンシャー上空に出現し、写真家のグレアム・ウィップス(Graeme Whipps)氏により撮影されました。
こちらです。
ウィップス氏によると、オレンジ色のオーロラは約1時間続いたオーロラ活動のピーク中に現れたそうで、「信じられない光景だった」と当時を振り返ります。
今回のオーロラ現象は、かなり強いコロナ質量放出(CME)が地球大気に衝突したことで発生し、約15時間にわたる磁気嵐(地磁気が乱れること)を引き起こしたことが分かっています。
そのため、よく見られる緑色のオーロラに加えて、高高度に赤色のオーロラも発生しました。
そしてオーロラがオレンジ色に見えたのは、赤色と緑色の部分が重なり合ったことが原因だったのです。
実はこれと同じ現象は、今年10月19日にカナダのアルバータ州でも目撃されています。
こちらも強いCMEの衝突により、赤色と緑色のオーロラが発生し、両者が重なり合うことでオレンジ色に見えていました。
ただ今回のアバディーンシャーのオーロラは、まだ明るい内に撮影された点で一段と珍しいものになったようです。