真冬の生存戦略!ワニの「ブルメーション」とは?
カチコチに凍ったワニが見つかったのは、アメリカ南東部ノースカロライナ州にある野生ワニの保護施設「スワンプ・パーク(Swamp Park)」の園内です。
同園のアシスタントマネージャーであるスコット・ペリー(Scott Perry)氏は、その様子を撮影した映像をSNSに投稿しました。
ペリー氏は、池の中で凍りついた巨大なワニの顔を映しながら「オーマイゴット!まるでジュラシックパークを見てるようだよ」と話しています。
ペリー氏の説明によると、これはワニが真冬の寒さを乗り切るための「ブルメーション(brumation)」という生存戦略です。
ブルメーションとは、ワニを含む爬虫類が冬時期に行う一種の冬眠を指します。
爬虫類は外部の気温によって体温が変化する「変温動物」であり、自分で体温を調節することができません。
そこで気温の低下に合わせて体内の代謝活動を落としていき、一種の昏睡状態に陥るのです。
水の中で凍ったワニはその間、心拍数が1分間にわずか3回にまで減速するといいます。
これは哺乳類が行う「冬眠(hibernation)」に似ていますが、恒温動物である哺乳類は自ら体温を下げてエネルギー消費を抑制することで、持続的な深い睡眠状態に入ります。
一方で、ブルメーションの方はあくまで外気温に依存するので、持続的な深い睡眠状態には入っておらず、気温が高くなると睡眠から目覚めます。
その証拠にスワンプ・パークのワニも先週末に凍っているのが見つかった後、23日(火曜)には池の水が溶けるのと同時に目覚めたという。
またブルメーション中もある程度は活動的であり、水を飲むこともあるといいます。
ただしブルメーションを行うワニはただ水の中で凍ればいいというわけではありません。
寝ていても呼吸はしなければならないので、水が凍り始めるとワニは水面に鼻先だけを突き出して呼吸口を確保しておくのです。
こうすることで凍った池の中でも窒息死しないで済みます。
ペリー氏は映像の中で、水面に突き出たワニの鼻先をチョンと触り「やったぞ、こんなこと生まれて初めてしたよ!」と嬉々として話しています。
またこれと同じ現象は、テキサス州ボーモントにある野生ワニ救助センター「ゲイター・カントリー(Gator Country)」でも確認されました。
こちらも濁った池の中で凍りついたワニが見られ、同じように鼻先だけを水面に突き出していて、呼吸口を確保しているのが伺えます。
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ノースカロライナ州とテキサス州は先週、ともに気温がマイナス1度を下回り、特にノースカロライナ州ではマイナス8度の寒波を記録していたという。
しかしこんなカチコチに凍りつきながらも生きられるなんて、私たちでは到底考えられません。
まさに生命の神秘を感じさせる一幕でしょう。
【編集注 2023.1.30 17:45】
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