ESAが約2年半の太陽の変化を公開!黒点や太陽フレアの違いが明らかに
2024年2月13日、欧州宇宙機関(ESA)は、2020年に打ち上げられた太陽観測衛星「ソーラー・オービター」が撮影した太陽の画像を2枚公開しました。
そのうち1枚は2021年2月に撮影されたものであり、もう1枚は2023年10月に撮影されたものでした。
2019年12月に太陽極小期を迎えた太陽は、2025年予想の太陽極大期に向かって活動を増しています。
比較画像は、その中のたった2年半の変化しか示していませんが、それでも大きな違いが見て取れます。
特に明らかなのは、「太陽黒点」と呼ばれる太陽表面の黒い点のように見える部分の違いです。
(太陽黒点は複数個が集まった状態で現れることが多く、このような集まりは黒点群と呼ばれます)
この太陽黒点の正体は、磁力線の塊です。
磁力線が集中している場所では、強烈な磁場が形成されます。
そして通常、プラズマは太陽の奥から熱い状態で湧き上がり、太陽の表面で冷やされた後、再び奥へと沈み込んでいきます。
しかし強力な磁場がある場所では、そんなプラズマの対流が妨げられます。
プラズマは磁場に捕らえられて再び沈み込むことができないので、周囲よりだんだんと温度が下がっていき、その場所は暗くなるのです。
この暗い部分こそが「太陽黒点」であり、その表面温度は約4000℃です。
太陽黒点も十分温度が高いように思えますが、周囲の表面温度は6000℃なので、比較するとはるかに低いことになります。
ちなみに、太陽黒点は光を放っていないわけではなく、単に周囲よりも弱い光なので、黒く見えます。
太陽極小期の2019年12月には、太陽黒点がほとんど見られませんでしたが、極大期に向けて、活動が増大するとともに黒点も増加しています。
またESAが示した比較画像では、太陽フレア(爆発現象)も多く確認できます。
太陽フレアもまた、太陽の活動が活発な時に発生しやすく、太陽黒点の付近で生じることが多いようです。
ちなみに太陽極大期には、太陽極小期よりも太陽フレアが50倍も発生しやすいと言われています。
予想される極大期が到来するまで、まだいくらかの期間が残っています。
太陽の活動は今後、公開された写真の状態よりも、いっそう活発になっていくことでしょう。
太陽活動が非常に活発化して巨大なフレアが発生すると、強力なプラズマが地球へ降り注ぎます。かつての地球ではこれが大きな災害になることはありませんでしたが、電子機器や通信機器が普及した現代では、太陽活動の活発化は非常に厄介な生前災害になる可能性があります。
そのため太陽の力強い変化とサイクルを理解することは、私たちの興味を満たすだけでなく、太陽が私たちにもたらすダメージや影響を理解する上で非常に重要です。