犯人の特定に重要な「指紋検出」
指紋の形状は人によってすべて異なり、一生変わることがありません。
指紋を形成する線状に隆起している部分は「隆線」と呼ばれており、約100の特徴点があります。
それら100の特徴点のうち、12カ所が一致する確率は「1兆人に1人」です。
そのため、2つの指紋の特徴点が12カ所一致しているのであれば、同一の指紋と見なされます。
現場で採取された指紋は警察のデータベースに保存され、それ以降、容疑者や他の現場から採取された指紋と比較されることになります。
こうした点を改めて考えると、事件現場に残された指紋は、犯人を特定するための非常に重要な証拠だと言えますね。
そして、この指紋検出には、様々な方法が用いられます。
一般的なものとしては、ドラマなどでおなじみの「粉末法」です。
アルミニウムなどの粉を指紋にパタパタと付着させて、その上から透明な転写シートを貼り付け、転写・採取するのです。
しかし、これには独特で、高いテクニックが必要となります。
付着させる粉が多すぎると、指紋の凹凸が無くなってしまうからです。
そして、犯人が野放しになっていることを考えると、指紋採取は「時間との勝負」です。
鑑識官たちは、時間に追われながら、正確な作業を行わなければいけないのです。
ちなみに、他の指紋検出の方法として、化学溶剤を用いた液体法なども存在します。
しかしこれら従来の方法には、スピード以外のデメリットがあるようです。
ジェームス氏ら研究チームは、「粉末や液体に含まれる化合物が、指紋内の犯人の汗や脂に含まれたDNAに損傷を与えてしまう恐れがある」と指摘しています。
こうした背景もあって、彼らは迅速でDNAを損傷させない、新しい指紋検出方法を開発しました。