「ゲームのプレイ時間」と「体の痛み」の関連性を調査
これまで、ゲームの健康問題に関する研究の大部分は、心理面および行動面への影響に偏っており、依存症や行動障害への懸念ばかりが強調されてきました。
実際、WHO(世界保健機関)は2019年に、ゲームの過剰利用により自分をコントロールできなくなり、日常生活に支障をきたす「ゲーム障害」を国際疾病分類(※)に正式に含めると発表しています。
(※ 国際疾病分類とは、WHOが作成する国際的に統一した基準で定められた病気および死因の分類のこと)
ゲーム障害の兆候としては、例えば、
・プレイ時間が大幅に長くなった
・夜中まで続けてしまい、朝が起きられなくなった
・ゲームのことが絶えず気になる
・他のことに興味を示さなくなった
・注意されると怒りっぽくなる
・利用時間や内容について嘘をつく
・課金が多くなる
などが挙げられます。
ゲーム障害になると、気分の落ち込みやイライラ、食欲低下、生活リズムの乱れなどが生じます。
その一方で、ゲームの過剰利用が身体に与える物理的な悪影響についてはほとんど見過ごされてきました。
そこで研究チームは、1回でどれくらいゲームをプレイする習慣があると身体の痛みが発生するリスクが高まるかを調査しました。
本調査では、アメリカ・イギリス・カナダ・オーストラリアの4カ国から日常的にゲームを利用する955人が参加しました。
そのうち男性は45%、女性が55%で、年齢は18歳〜94歳と幅広い層を対象としています。
参加者はまず、過去1年の間に1回あたり3時間以上のゲーム利用をどのくらいの頻度で行ったかをアンケート調査で回答しました。
回答項目は「全くない」「月に1回か、それ以下」「毎週あるいは毎日」の3つです。
これと別に、1回あたり6時間以上のゲーム利用の頻度についても質問しました。
また、ゲーム利用への依存度を評価する「ゲーム障害尺度(IGDT-10)」にも回答してもらい、参加者のゲーム障害の程度を評価しています(サンプルはこちら)。
それから、過去1年の間に経験した身体の健康問題(頭痛・肩こり・腰痛・疲労、その他、各部位の痛み)についても詳しく回答してもらい、さらに「プロゲーマーになりたい意思があるか」に「はい/いいえ」で答えてもらいました。
では、その結果を次に見てみましょう。