ゲームは1回で何時間プレイしていると「体の痛みリスク」が増加するのか?
ゲームは1回で何時間プレイしていると「体の痛みリスク」が増加するのか? / Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
health

ゲームプレイの身体的負担は3時間経過から顕著に

2024.03.28 Thursday

ついつい夢中になって長時間ゲームを遊んでしまったという経験は多くの人にあるでしょう。

こうした長時間プレイを続けると、肩や腰の痛み、頭痛など身体の各所に不調がでてきます。

確かに遊びとは言え長時間同じ姿勢を続けるゲームは、体に多くの負担を掛けることが予想できます。では具体的に何時間連続でプレイしていると体に痛みがでてくるのでしょうか?

豪クイーンズランド大学(University of Queensland)は今回、長時間のゲームプレイが与える”身体的負担”に与える影響を調査しました。

その結果、1回に連続して3時間以上のゲームをする習慣があると、目の疲れや体の痛み、頭痛といった物理的な痛みが生じやすくなることがわかったのです。

ゲームプレイに関しては主に心理的な影響を調査した研究が多いため、身体的負担に焦点を当てた今回の研究はありそうでなかった珍しい報告です。

研究の詳細は2024年2月27日付で学術誌『Computers in Human Behavior』に掲載されています。

Excessive gaming causing health issues https://www.uq.edu.au/news/article/2024/03/excessive-gaming-causing-health-issues Extended hours of video game play linked to negative physical symptoms https://www.psypost.org/extended-hours-of-video-game-play-linked-to-negative-physical-symptoms/
Extended hours of video game play and negative physical symptoms and pain https://doi.org/10.1016/j.chb.2024.108181

「ゲームのプレイ時間」と「体の痛み」の関連性を調査

これまで、ゲームの健康問題に関する研究の大部分は、心理面および行動面への影響に偏っており、依存症行動障害への懸念ばかりが強調されてきました。

実際、WHO(世界保健機関)は2019年に、ゲームの過剰利用により自分をコントロールできなくなり、日常生活に支障をきたす「ゲーム障害」を国際疾病分類(※)に正式に含めると発表しています。

(※ 国際疾病分類とは、WHOが作成する国際的に統一した基準で定められた病気および死因の分類のこと)

ゲーム障害の兆候としては、例えば、

・プレイ時間が大幅に長くなった

・夜中まで続けてしまい、朝が起きられなくなった

・ゲームのことが絶えず気になる

・他のことに興味を示さなくなった

・注意されると怒りっぽくなる

・利用時間や内容について嘘をつく

・課金が多くなる

などが挙げられます。

ゲーム障害になると、気分の落ち込みやイライラ、食欲低下、生活リズムの乱れなどが生じます。

ゲームの過剰利用による健康問題は、心理面や行動面ばかりが注目されてきた
ゲームの過剰利用による健康問題は、心理面や行動面ばかりが注目されてきた / Credit: canva

その一方で、ゲームの過剰利用が身体に与える物理的な悪影響についてはほとんど見過ごされてきました。

そこで研究チームは、1回でどれくらいゲームをプレイする習慣があると身体の痛みが発生するリスクが高まるかを調査しました。

本調査では、アメリカ・イギリス・カナダ・オーストラリアの4カ国から日常的にゲームを利用する955人が参加しました。

そのうち男性は45%、女性が55%で、年齢は18歳〜94歳と幅広い層を対象としています。

参加者はまず、過去1年の間に1回あたり3時間以上のゲーム利用をどのくらいの頻度で行ったかをアンケート調査で回答しました。

回答項目は「全くない」「月に1回か、それ以下」「毎週あるいは毎日」の3つです。

これと別に、1回あたり6時間以上のゲーム利用の頻度についても質問しました。

また、ゲーム利用への依存度を評価する「ゲーム障害尺度(IGDT-10)」にも回答してもらい、参加者のゲーム障害の程度を評価しています(サンプルはこちら)。

それから、過去1年の間に経験した身体の健康問題(頭痛・肩こり・腰痛・疲労、その他、各部位の痛み)についても詳しく回答してもらい、さらに「プロゲーマーになりたい意思があるか」に「はい/いいえ」で答えてもらいました。

では、その結果を次に見てみましょう。

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