軽い変装でもばれる確率は約30%低下し、偶然レベルまで落ちる
実験の結果、変装をすることで同一人物かどうかを見分ける確率が約30%減少することが分かりました。
変装を見抜くことができていたのは、被写体と知り合いの人がほとんどで、彼らは見覚えのある目や鼻、口の特徴を手掛かりにして変装を見抜くことができていました。
一方で、被写体の人物と知り合いでない人はほぼ見抜けず、偶然の判断と同じレベルにまで低下したのです。
また被写体の人物と知り合いでない人は、「変装してる人がいますよ」とヒントが与えられている場合でも、変装を見破れる確率は約30%減少しました。
そして最もばれにくいのは誰かの見た目に寄せる変装よりも、普段の状態から真逆の変装、自分らしくない変装をすることだったのです。
上は研究で使われた写真の例です。「同一人物」のペアは、自分自身に似ないようにする回避変装をしており、「別人」のペアは、特定の対象人物に似せようとする「なりすまし変装」をしています。
これを見ると私たちは殆どの場合、雰囲気で相手を見分けていることに気づきます。変装によって自分と気づかれないようにする、あるいは他人になりすますことは、かなり有効なのです。
研究チームは「犯罪やセキュリティの場面で意図的な変装を軽視すべきではない。誰かが自分の身元を隠そうと本気になれば、変装で簡単に身元を隠すことができるだろう」と述べ、犯罪やセキュリティ面での変装が身元を隠す手段として効果的である事実に警鐘を鳴らしています。
この発見は、スパイや潜入任務の話だけでなく、現代社会におけるセキュリティやプライバシーに関する問題とも関連しています。
有名人が意外と気づかれずに街中を歩けるというのも、こうした効果によるものでしょう。
この研究結果は、顔認識技術が進化する中で人物の識別が容易になっている反面、人間に対しては見た目の些細な変化がいかに効果的にその人物の身元を隠すことができるのかを示唆しています。