魚同士のキスは「愛情表現の真逆」の行為だった!?
キッシンググラミーでは、その名前の元になった「キス」のような行動が見られます。
2匹の個体が口を近づけ、数秒間押し合うのです。
これは人間のキスとは大きく異なります。
キッシンググラミーたちは、愛情表現ではなく、闘争行為としてこれを行うのです。
しかし、口で相手を傷つけたり、攻撃したりしているわけではありません。
専門家たちの中では、「儀式化された闘争行為」だと考えられています。
いわば「口を使った力比べ」によってどちらが強いかを示し合い、互いに傷つけることなく、グループ内での地位を明確にしたり、縄張り争いしたりしているのです。
実際、キッシンググラミーがキスをしている時には、顎の筋肉の収縮が見られており、「力比べ」という表現は妥当です。
キッシンググラミーたちは、人間が腕相撲で優劣をつけるかのように、その発達した口で優劣を決めていたのです。
とはいえ、その傷つけない勝負「キス」が見られる環境では、キッシンググラミーが死に追いやられるケースもあるようです。
そもそもキッシンググラミーは縄張り意識が強い魚です。
そのため水槽などの狭い環境では、キスによる縄張り争いが生じたり、ある個体が他の個体をいじめたり追いかけたりする場合があります。
もちろん「キス」で致命傷を負うことはありません。
しかし、絶え間ない戦いやいじめによって生じる強いストレスが、ある個体を死に至らしめることはあるのです。
キッシンググラミーのキスは、私たち人間にとって微笑ましいものですが、もしかしたら彼らにとっては、「胃が痛くなるようなストレスフルな戦い」なのかもしれません。
ということはこのファンシーなお魚さん2尾は人間で言うと目が血走ったオラついたゴツい男二人なのか