ウェーブの作り方が凄い!またウェーブが通じないときの「奥の手」も
研究者たちがオオミツバチの巣を観察したところ、ハチたちは面白い方法でウェーブを作り出していました。
1匹1匹の動きを見ると、彼らは黒いお腹の部分を一瞬だけ上下動させていたのです。
私たちで例えるなら、腕立て伏せの状態から一瞬だけお尻を浮かして、すぐに元の位置まで下げるようなイメージです。
さらに研究者によると、オオミツバチたちは隣にいる仲間の上下動の動きに瞬時に反応して、自らも上下動を開始することがわかりました。
しかし瞬時に反応したとしても、隣のハチの動きとはわずかな誤差が生じます。
この誤差のおかげで、巣全体にウェーブが伝播していくように見えていたのです。
こちらはスズメバチを威嚇する様子を近くで見たもので、速すぎて目がなかなか追いつきませんが、個々のオオミツバチがお腹を上下動させているのが伺えます。
研究によれば、ウェーブは巣に接近してくるスズメバチに視覚的に気づいたハチから始められると考えられています。
危険なスズメバチを目視したハチは本能的にお腹の上下動を開始し、それが周囲のハチへと高速に伝播していき、ウェーブが発生するのです。
またスズメバチに気づくハチが複数いれば、巣の各所で同時多発的にウェーブが発生することもあります。
ただ問題はウェーブがスズメバチに通用しない場合があることです。
しかしオオミツバチの方も性格が獰猛なので、決してスズメバチから逃げることなく、ウェーブが効かなければ実力行使に打って出ます。
戦闘要員のミツバチたちが一斉にスズメバチに襲いかかり、「窒息スクラム」と呼ばれる攻撃を仕掛けます。
これはミツバチの群れが四方八方からスズメバチに覆いかぶさることで、中心にいるスズメバチを圧死させる恐ろしい方法です。
ただその過程で、スズメバチに最も近い場所にいる内側のミツバチも死んでしまうことがあります。
オオミツバチたちは自らの命を賭しても、仲間を守ろうとする義理堅い生き物なのです。