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【昆虫の集団行動の謎】訓練も無しに数千匹でウェーブをするミツバチ

2025.01.20 12:00:32 Monday

野球のスタジアムで、スタンドのお客さんが一斉にウェーブを作ることがありますよね。

ウェーブは一人一人が協調してこそ作れる人間特有の大きな運動ですが、実はウェーブができるのは私たちだけではありません。

この動画に見られるように、ある種のミツバチは巣の仲間たちと協調して、人間より高度なウェーブを繰り返し作ることができるのです。

ではミツバチは一体何の目的でウェーブを作るのでしょう?

また互いに言葉も交わせないミツバチがどうやってウェーブを作っているのでしょうか?

Here’s what triggers giant honeybees to do the wave https://www.sciencenews.org/article/giant-honeybee-shimmering-nest-behavior-defense
Defensive shimmering responses in Apis dorsata are triggered by dark stimuli moving against a bright background https://doi.org/10.1242/jeb.244716

ウェーブは天敵「スズメバチ」への威嚇行動

この驚くべきウェーブを作り出しているのは、主に東南アジアを生息地とする「オオミツバチ(学名: Apis dorsata)」です。

オオミツバチはその名の通り、日本にいるような一般的なミツバチよりも一回り大きく、それでいてスズメバチに匹敵するほど獰猛な性格をしています。

また彼らが作る巣も規格外で、大きなものだと幅2メートル、高さ1.5メートルにも達するのです。

さらに他のミツバチの巣と大きく違うのは、巣を覆う外壁のようなものがなく、中身が剥き出しになっていることです。

そのため、一堂に群がった何千匹ものオオミツバチが外に向かって思いっきり丸出しになっています。

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オオミツバチの剥き出しになった巣/ Credit: Sajesh Vijayan et al., Journal of Experimental Biology(2022)

丸出しということは、天敵や何らかの環境刺激から物理的に守られていないことを意味します。

ではオオミツバチはどうやって巣を守っているのかというと、その一番の方法がウェーブなのです。

オオミツバチのウェーブは専門的には「揺らぎ(shimmering)」と呼ばれています。

特にオオミツバチの最大の天敵は、彼らよりも凶暴で攻撃力の高いスズメバチです。

これまでの研究で、スズメバチが巣を襲撃しようと接近してきたときに、オオミツバチはウェーブを作り出して威嚇することがわかっています(Journal of Experimental Biology, 2022)。

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ウェーブを繰り返すオオミツバチ/ Credit: Sajesh Vijayan et al., Journal of Experimental Biology(2022)

1回のウェーブはわずか数百ミリ秒しか続かない非常に短いものですが、オオミツバチたちはこれを何度も繰り返すことで、まるで巣全体が巨大な生き物のごとく波打っているように見せるのです。

実際に実験観察では、オオミツバチのウェーブに直面したスズメバチはそれに困惑して、襲撃することなく進路を変えることが確認されています。

では、オオミツバチたちはどのようにしてウェーブを作り出しているのでしょうか?

次ページウェーブの作り方が凄い!またウェーブが通じないときの「奥の手」も

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