睡眠リバウンドはどうやって起こるのか?
寝不足の翌日にぐっすり眠れる現象は、科学的には「睡眠のリバウンド」と呼ばれています。
これは失った睡眠時間を取り戻すために、いつもより深く、長い睡眠が自然に起こる現象です。
リバウンド睡眠では、脳波を測定すると通常よりも大きな振幅の波が観察されます。
つまり、脳がより強く休息している状態が見て取れるのです。
この現象はヒトだけでなく、多くの動物でも確認されてきました。
しかし「どこに眠気が蓄積され、どのようにして深い睡眠リバウンドが引き起こるのか」については、長年の謎とされてきました。

これまでの研究では「大脳皮質」という脳領域が関わっている可能性が指摘されています。
しかしヒトを含む哺乳類では、睡眠の検出自体が大脳皮質の活動に依存しているため、もし大脳皮質を操作すると睡眠そのものの判定が難しくなるという課題がありました。
そこで研究チームは今回、爬虫類の「オーストラリアドラゴン(学名:Pogona vitticeps)」を用いることにしました。
オーストラリアドラゴンは、睡眠と覚醒を大脳皮質ではなく、「DVR(背側脳室隆起)」という別の脳部位の脳波で判定できるという特長があるからです。
そしてチームは、このオーストラリアドラゴンを寝不足にさせる実験を行いました。