投入するだけで、マイクロプラスチックを「集めて」水面に「浮かべる」マイクロクリーナー
マイクロクリーナーは、軟質樹枝状コロイド(SDC)という特殊な粒子を使っています。
この軟質樹枝状コロイド(SDC)は、カニや貝の殻から作った天然高分子キトサンを加工して作られています。
海から得られた天然素材を使用することで、このアイデアをより持続可能なものにしているのです。

このSDCには、マイクロプラスチックを捕まえる力がありますが、ただ水中に入れるだけでは、効率よく回収できません。
そこで研究チームは、まず、小さなSDC粒子を乾燥させ、ペレット状にまとめました。
次に、ペレットの一部に植物由来のオイルを塗布。
これは分散剤として働き、水の表面張力の違いを利用してペレットが自動で水面を動き回りつつ、少しずつ溶けるようにします。
加えてSDCには、ゼラチンでコーティングしたマグネシウム粒子も注入されており、これが「浮輪のような役割」を果たします。
マイクロプラスチックを捕まえたSDCは沈みますが、ゼラチンが水に溶けてマグネシウム粒子が顔を出すと、小さな泡が発生。
この泡がマイクロプラスチックを抱えて水面へ浮かび上がらせるのです。
このようにして作られたマイクロクリーナーは、水に投入するだけで、水中のマイクロプラスチックをからめとり、水面にまとめて浮かべてくれます。

そのためユーザーは、浮かんできたマイクロクリーナーとプラスチックの塊をすくうだけで、簡単にプラスチックを回収できます。
大きな機械やポンプを使わずに、誰でも手軽に水中のプラスチックを取り除くことができるのです。
研究チームは今後、より一層使いやすくするための改良を進める予定です。
また、回収したマイクロクリーナーを再利用する仕組みも考案中であり、より多くのマイクロプラスチックの除去を目指しています。