母親の遺伝子に隠された「男児優勢・女児優先」スイッチとは

では、なぜ母親ごとに子どもの性別の偏りが生じるのでしょうか。
研究チームはこの問いに迫るため、考え得る様々な母親側の要因をデータから検証しました。
年齢、人種、体格、生活習慣、さらにはゲノム解析(遺伝子レベルの差異)まで網羅的に調べたのです。
その結果、いくつかの興味深い関連要因が浮かび上がりました。
まず明らかになったのは母親の年齢の影響です。
特に初産(最初の子を産んだ時)の年齢が高い女性ほど、その後子どもの性別が一方に揃う傾向が強いことが分かりました。
統計的には、初産年齢が29歳以上のグループは22歳以下のグループに比べて、「子どもが全員同じ性別になるオッズ」が約1.13倍(95% CI: 1.04–1.24)と報告されています。
わずか一割強の差ではありますが、人口レベルで見れば意味のある偏りです。
一方、身長については1インチ(約2.54cm)高くなるごとに「子どもが全員同じ性別になるオッズ」が約13%減少する(OR=0.87, P=0.004)という統計的に有意な傾向が見られました。
それ以外の要因、人種(白人か否か)、若い頃のBMI(体格)、血液型、生活リズム(朝型か夜型か)などには有意な関連は認められませんでした。
このように、際立った要因は「母親の年齢」と「身長」でした。
もう一つの重要な手がかりは遺伝的要因でした。
研究チームは一部の参加者から得られた遺伝子データを用い、ゲノムワイド関連解析(GWAS)によって「全ての子が同じ性別であること」に関連する母親側の遺伝子変異を探索しました。
その結果、2つの遺伝子領域が統計学的に有意な関連を示しました。
一つは第10番染色体上の「NSUN6」という遺伝子に存在する変異で、この変異を持つ母親は娘(女児)のみを産む傾向があることが示唆されました。
もう一つは第18番染色体上の「TSHZ1(Teashirt Zinc Finger Homeobox 1、ティーエスエイチゼットワン)」という遺伝子の近傍の変異で、こちらを持つ母親は息子(男児)のみを産む傾向が示されました。
これらの遺伝子はこれまで性別や生殖に関与すると知られておらず、今回の発見は新しいメカニズムの存在を示唆しています。
以上の結果を踏まえ、研究チームは子どもの性別の偏りが生まれる理由として複合的な要因を指摘しています。
それらを大きく分けると二つになります。
一つ目は生物学的要因です。
例えば加齢に伴って月経周期の卵胞期が短縮するとY染色体精子が有利になる可能性(男児が生まれやすい)や、膣内環境が酸性に傾くとX染色体精子が有利になる可能性(女児が生まれやすい)が指摘されていますが、これらはまだ仮説段階です。
各女性が年齢とともに示すこうした変化の度合いが異なるために、結果として「この人は男の子ばかり」「この人は女の子ばかり」という差が生じうる、と研究者らは推測しています。
また、遺伝子変異の関与についても、ホルモン分泌の微妙な違いや受精卵の着床・維持能力、あるいは夫婦の相性(免疫学的適合性)などを介して性別に偏りをもたらす仕組みが存在する可能性があります。
今回検出された遺伝子変異は、母親の初産年齢や他の生殖関連形質(初経や閉経の年齢など)とは無関係に作用していると考えられ、今後その具体的な働きを突き止めることで新たな生命科学的知見が得られるでしょう。
二つ目は行動学的要因です。
親が望む性別の子どもを得るまで子作りを続ける、あるいは男女両方を得た時点で子作りをやめるといった家族計画上の意思決定も、家族内の性別パターンに影響を与えます。
特に先述のように2人までの子どもでは「男女1人ずつ」で打ち止めとなる夫婦が多いため、全体として男女が揃った家庭が過剰に多く見えます。
一方、もともと生物学的に偏りやすい母親であっても、希望の異性の子どもを得るため通常より多く出産するケースが考えられます。
研究チームは、このような人間の行動要因と生物学的要因の両方が相互に作用しあって実際のデータに現れる偏りを形作っている可能性が高いと結論付けています。
たとえば、生物学的に「男の子ばかり生まれやすい母親」ほど女の子を求めて出産回数を増やす傾向があり、その結果として非常に子沢山になるも結局全員男の子……という家族も想定されます。
このような場合、生物学的な偏りに行動上の偏り(性別に影響された出産行動)が拍車をかけ、統計的に見た偏り現象を一層際立たせているかもしれません。
今回の研究は、「赤ちゃんの性別は基本50/50」という従来の常識に一石を投じる発見と言えます。
もちろん、「3人男の子が続いたから次も必ず男の子」という絶対的な決定論ではありません。
上記の通り確率はせいぜい60%程度であり、依然かなりの部分は偶然に左右されることも事実です。
しかし、「次こそ女の子が欲しいからもう一人…」と考える場合に「その確率は半々より低いかもしれない」という視点は、家族計画を考える上で知っておいて損はないでしょう。
オックスフォード大学の人口統計学者ジョシュア・ワイルド(Joshua Wilde)氏は、「子どもの性別が続いている家族には次の子も同じ性別になる可能性が少し高まることを伝える必要があるかもしれない」とコメントしています。
実際、今回明らかになった母親ごとの性別の偏りは、科学的にも興味深いだけでなく、将来的には産科医療やカウンセリングの現場で両親の心構えに影響を与える可能性があります。
やだ、ジト目お姉さんがいっぱいいるわ。
どの子が欲しい、あの子が欲しい…。
世のお父さんたちを困らせる女の子だけ家庭は偶然ではないという恐怖。
偶然とは思うが過去にチャレンジした人が居て、1人目女の子で2人目も女で、3人目も女だとヤバイってなった父親がそれまで肉中心の食生活だったのを、奥さんも一緒に魚と野菜中心の食生活にガラっと変えて一年経過後に「そろそろだな」と3人目に挑戦したら男が産まれたとか
「赤ちゃんの性別は基本50/50」ではなく、男のほうが5%程度多いことはずっと昔から知られていることなのですが…。
もっとも今の高齢化の進んだ日本では全人口で見ると死亡率の低い女性の方が多くなっていますが。
男の子が欲しいのに2人女の子が続いて、悩んだ末3人ならなんとかギリギリ育てられるかも、ってもう一回頑張ったら女の子の双子が産まれた家庭を知っています
2人続いた時点で既に割の悪いギャンブルだったのか
それって数学の先生同士のカップル?
女性5人に家庭で囲まれることになったお父さんは野球部顧問。
わんぱく球児たちをワンボックスカーに大勢乗せて試合に引率する日々に何を思う哉と…
感じると男が生まれるんだっけ
うちは、男女3人ずつです
産み分けもしていません
男女の相性、その時の体調、テンション、総合的に考慮しつつ、そのタイミングの母体が完全燃焼なら男が生まれる、不完全燃焼なら女が生まれる。と思う。
男が下手くそでも女がノリノリなら男が生まれる
男がノリノリだけど下手くそで女も奥手だと女が生まれる
男が上手くて女が奥手でも男が生まれる
感じなくても男の子が生まれたよ。
それは俗説でしかないと思う。
女ばかりの家系と男ばかりの家系って確かに見た事あるわ。
女ばかり生まれるNSUN6、男ばかり生まれるTSHZ1の仕業だったのか。
ダイワスカーレットの産駒とか牝馬に大分偏ってるしね
流石に人間に何十人も産ませるのは倫理的に問題だろうけど一度に沢山産む動物とかで実験すれば関連するDNAとか見つけるのはそんなに難しい事じゃない気がするけど
つーかそれ位は既にやってるのかと思ってた位だが
父親側の要因の可能性はないんだろうか
それが精子の染色体の話ではなくて?
1970年台(もっと前かも)の米国小説で読んだ。息子の長さと、母体のその瞬間の体液の状況ファクターが大きいと(深くオーガズム)。精子の雌雄の遊泳能力差にバイアスがかかる条件を挙げていた。
母体身長と息子身長の相対比かも。
この紹介記事中の要因では、「2つの遺伝子」以外は父親側の要因と考えても矛盾しないと思いました。
そしておっしゃる通り父親側の要因を検証することで、「母親の遺伝子要因」以上の効果が父親側から見つかるのかもしれません。
精液の中に含まれる精子の染色体の割合に偏りがある可能性は記事の中じゃ検証されてないよね
???
かたよってないひとたちの研究は?
肉を食べると女の子、穀物を多く食べると男の子、みたいなのを聞いたことがありましたが、そうすると肉食を避けてた江戸時代の日本では男の子しか生まれなくなるから産み分けと食べ物の関連はないなぁと思ったことがあります。
私の両親がコレだわ。どうしても男子が欲しくて頑張るも産まれたのは女児4人(笑)母親は同世代より5~6年晩婚で初産も遅い。背も低い。
コンプラ…
父親側の研究は?
ああ、なんか分かるかもしれない。
ひいおばあちゃんもおばあちゃんもお母さんも女の子しか産んでない…
嫁の友達の旦那は6人姉弟の末っ子で長男。つまり上5人は全員女の子w どうしても男の子が欲しくて夫婦で頑張ったんだな〜。普通は4人目も女の子だったら諦めるかも… 逆にアメリカで15人連続で男の子って家庭が、16人目が奇跡的に女の子で皆大喜び。しかし凄い根性と努力…
なんてこったい!
結婚前に調べておけば良かった
全て女性側の要因だけで、男性側の要因を出していない。この研究をした人は男性だろう。
女性で男の子しか生まれなかったのに、再婚したら女の子が産まれたとかいう話はよく聞く。その逆も。
両親のDNAの組み合わせや、それぞれの遺伝子で、受精しても育ちにくい弱い性別の遺伝子があるのではないか。
科学的流産はすごく多いから。
私の知り合いに、高齢の7人姉妹がいます。ご両親は、7人目が生まれた時に男の子は諦めたそうです。
これは興味深いけど若干ヤバい研究成果かも。よくある古風な家柄……でなくとも、義父母がおつむの古いタイプだと嫁に跡継ぎに男子を産めと強要してイビったりするけど、ある意味、それに科学的根拠を与えてしまいかねないのでは?
まあ、半分は最近よく見かける女性誌のネット版記事かなんかでよくあるネタ、もう半分は天皇家の跡継ぎ問題で、おふざけ半分真面目半分の感想だけど。
補足。
天皇家の跡継ぎ問題、少なくとも現代においては、文句を言うのは義父母じゃなくて保守反動主義の方々か。
関連(相関)は見つかったとは書いてあるけど、因果関係が見つかったとは書いてないので注意が必要。
TSHZ1がある→男児を産む。とはいえません。
女児を産むにはXY染色体がYYとならなければならない。
女性はY染色体しか持たないわけだから、
男性側からもたらされるものが、XかYかによる。
そのため、男女どちらが生まれるかは、男性側の性質によるところが強くなる。
今回の研究は前提からして的外れである。
女性の性染色体型は基本XX。
受精までの道のりは軽いYが有利と言われている。
様々な要因で性別が決まるのだけど、今回の遺伝子変異による優位性は興味深い。
女子を産みたかったから基礎体温をつけて排卵日前日から当日にしか妊活しないようにしていた。
排卵日後の妊活は男子になりやすいという噂を信じていただけですが。
母親に焦点あててる理由が謎。
複数の子供がいて父親がそれぞれ違っても同一の母親から産まれる子は同性が続くって話なら分かるけれど。
同じパートナー同士の子ならば母体の問題だけではなく父親の精子側にも何か因子があるのかもしれない、よね?
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