人生を通して「骨を強くする」には?
私たちは「運動すれば骨は強くなる」と学んできましたが、現代の生活ではそもそも座っている時間がとても長くなっています。
学校や仕事、移動や娯楽の多くが椅子の上で行われ、子どもも大人も一日の大半を座位で過ごすことが珍しくありません。
座りっぱなしが肥満や糖尿病、心血管疾患のリスクになることはよく知られていますが、骨の健康に対してどれほど独立した悪影響があるのかは十分に整理されていませんでした。
今回のレビューは、そうしたギャップを埋める目的で、身体活動と座り行動が骨の健康に与える影響をライフステージ別に評価しました。
分析の対象になったのは、疫学研究、システマティックレビュー、メタ解析など信頼性の高い研究群です。
活動量や座位時間の測定には、質問票などの自己申告に加え、加速度計など客観的なウェアラブル測定を用いた研究も採用されました。
このレビューが特に重視したのは、「骨がどれくらい丈夫か」(骨密度)と、「骨折しやすいかどうか」(骨折リスク)という2つのポイントです。
子どもの骨がどれくらいしっかり成長するか、大人や高齢者の骨折をどう防ぐかまで、幅広い年齢層をカバーして調べています。
さらに、座っている時間の一部を軽い活動や中強度以上の活動に置き換えたとき、骨にどのような変化が起こるのかという「置き換え効」にも目を向けています。
加えて、世界保健機関(WHO)が推奨する身体活動量との整合性も検討され、現実的な行動指針に落とし込めるかどうかも確かめられました。