音楽経験が豊かな人ほど「選択的な注意力」が高い
実験の結果、音楽経験が豊かな人ほど選択的注意が高く課題の正答率も良いことが示されました。
とりわけ2つのメロディを完全に重ねて提示した難条件でもその強みがはっきり表れていました。
また脳活動の解析では、トップダウン型注意の働きが強い場面で左の頭頂葉と前頭前野の活動が高まる特徴が観察されました。
そして左の頭頂葉の中でも下頭頂小葉と関連が示され、目標にもとづく選択の制御に関わることが示唆されています。
一方で外部刺激に引き込まれるボトムアップ型の影響が強いほど、右の下頭頂小葉や側頭領域の関わりが目立ち、課題成績は下がりやすい傾向が見られました。
さらに音楽経験が豊かな人は「注意を保つ力」も高く、集中のピークがより長く維持される特徴も観察されました。
この持続的注意は右前頭前野の活動と関係していることが分かっています。
これらの所見は、音楽経験が選択的注意を高める可能性を示唆しています。
このことを活用して、雑音下での聞き取り練習や楽器学習を通じて注意のコントロールを学ぶことも可能かもしれません。
またリハビリテーションでは、注意の維持や不要情報の抑制を促す訓練に音楽的要素を取り入れる応用が期待されます。
とはいえ、研究チームは本研究で「音楽トレーニングと注意力向上の因果関係そのものを証明したわけではない」と述べており、今後は音楽トレーニングによって、実際に注意力が向上するかどうかを確かめる研究が求められます。
もしかしたらあなたも音楽に親しむことで、日常の「聞き分け力」や持続的な集中力を高めることができるかもしれません。
それ多分関係逆ですね。
8年間ほど楽器やってましたけど、聞き取る能力自体はあまりないので。