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「あなたは大丈夫?」隠れ肥満を見つける新しい計算方法が登場

2025.10.26 07:00:10 Sunday

私たちが健康診断などでよく目にする「BMI(体格指数)」は、体重(kg)を身長(m)の2乗で割って求める、肥満状態を判定する指標です。

一般に、BMIが18.5〜24.9の範囲なら「正常体重」、25以上で「過体重」、30以上で「肥満」とされてきました。

多くの人が一度はこの数値を計算し、「自分はまだ25を超えていないから大丈夫」と安心した経験があるでしょう。

しかし、その「安心」が揺らぎ始めています。

米国マサチューセッツ総合病院(Massachusetts General Hospital)などの研究チームは、BMIだけでは見逃される健康リスクを正確に把握するため、腹囲や腰臀比、身長比ウエストなどの体型指標を組み合わせた新しい肥満の定義を提案しました。

この新基準を全米30万1,026人のデータに当てはめたところ、これまで「BMIは正常だから大丈夫」と考えられていた人の中にも、深刻な健康リスクを抱える“隠れ肥満”が多数見つかったのです。

あなたも新しい基準で計算してみると、思いがけず「肥満」に分類されるかもしれません。

この研究の詳細は、2025年10月付けで科学雑誌『JAMA Network Open』に掲載されています。

Study Indicates Dramatic Increase in Percentage of U.S. Adults Who Meet New Definition of Obesity https://www.massgeneralbrigham.org/en/about/newsroom/press-releases/dramatic-increase-in-adults-who-meet-new-definition-of-obesity
Implications of a New Obesity Definition Among the All of Us Cohort https://doi.org/10.1001/jamanetworkopen.2025.37619

これまでの肥満の定義

BMI(体格指数)は、体重を身長の2乗で割って算出されるシンプルな指標です。

一般的にBMIが25以上で「過体重」、30以上で「肥満」とされてきました。

しかし研究者たちは、「BMIだけでは体脂肪のつき方やお腹まわりの状態、体の機能の落ち込みを十分に評価できない」と指摘しています。

実際、BMIが正常範囲内であっても、お腹まわりの指標が高く健康リスクが高い人が一定数存在します。

このようなケースは、特にアジア人や高齢者に多く見られ、これまでは健康と判断されることが多かったのです。

そこで、研究チームは、複数分野の国際専門家会議(ランセット・コミッション)が提案した考え方を基に、新しい肥満判定基準を構築しました。

この新しい定義では、BMIに加えて腹囲や腰臀比(ウエストとヒップの比率)、身長比ウエストなどの身体計測を組み合わせ、脂肪の分布(特に内臓脂肪の多さ)を評価します。

つまり、BMIが「普通」でも、お腹まわりが身長のわりに太いなど、複数の体型指標で異常が見られれば「肥満」と判定されるのです。

誰もが今すぐできる「新しい肥満自己チェック」

この新しい肥満基準は、次の方法で一般の人でも簡単に判定を行うことが出来ます。

  1. BMIを計算する(体重kg ÷ 身長m²)

  2. ウエスト・ヒップ・身長を測る

  3. 体脂肪率を測る(家庭用体組成計でも可)

ここで判断すべき数値は、人種や性別ごとに細かい基準が設定されていますが、日本の一般向け目安としては次の数値が参考になります。以下の項目のうち、いくつ当てはまるか確認してみましょう。

  • BMIが25以上

  • 腹囲(ウエスト)が男性85cm/女性90cm以上

  • 腰臀比(ウエスト÷ヒップ)が男性0.90以上/女性0.85以上

  • 身長比ウエスト(ウエスト÷身長)が0.5以上

  • 体脂肪率が高い(男性25%以上、女性30%以上)

たとえば、身長160cmの人はウエスト80cm、身長170cmの人はウエスト85cmを超えると「注意ゾーン」です。

そして上の項目のうち2項目以上が基準を超える場合、新たな基準の「隠れ肥満」である可能性があります。その場合、BMIが正常(18.5〜24.9)でも生活習慣病のリスクが高まります。

この新基準では、BMIに加えてウエストとヒップの比率、身長比ウエストなどの身体計測を組み合わせ、脂肪の分布(特に内臓脂肪の多さ)を評価します。

この考え方の狙いは、「身長に対して体重が多い=肥満」という単純な分類ではなく、体脂肪の質と分布、そして健康への影響をもとに“病態としての肥満”を判断することです。

この複数評価では、実際大規模データに適用すると、これまでのBMI基準では見逃されていた多くの人々が、実は健康リスクの高い肥満状態になったといい、特にアジア人ではその可能性が高まったという。

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