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雄のメバルは「鳴き声」と「おしっこ」で求愛していた / Credit:Canva
biology

雄メバルは「鳴いた」後、雌に「おしっこ」をかけて求愛していた (2/2)

2025.11.07 11:30:40 Friday

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雄クロメバルの求愛は「おしっこ」と「鳴き声」の合わせ技だった

実験の結果、オスのクロメバルは繁殖期になると膀胱が大きく発達し、たっぷりと尿をためていることが分かりました。

一方、メスの尿量は低いレベルで安定していました。

そしてオスは求愛の際、まず特定な鳴き声を発しながらメスに近づき、その直後にメスの鼻先めがけてピンポイントでおしっこを放出する一連の流れが観察されました。

このおしっこには、フェロモンのような化学物質が含まれていると考えられています。

オスは「自分は健康で、繁殖の準備が整っているよ」というメッセージをおしっこを通じてメスに伝えている可能性があります。

さらに、精巣と膀胱の大きさは、そのオスが群れの中でどれだけ“エラい”か、つまり社会的な地位にも関係していることが明らかになりました。

社会的に強いオスほど大きな膀胱を持ち、一度に多くのおしっこを放出できる傾向があったのです。

またオスが発する鳴き声は、求愛の初期、メスに近づくタイミングで多く観察されました。

まず音でメスの注意を引き、その後でにおい、つまりおしっこという強力なサインを送り込む、段階的なアピール戦略だと考えられます。

さらに興味深いのは、オスが複数回求愛行動をした場合でも、毎回最後のタイミングでしかおしっこを放出しなかった点です。

これは、海魚にとっておしっこはとても貴重なリソースなので、無駄にせず、最も効果的なタイミングだけで使っていることを示しています。

この研究は「海水魚には尿フェロモンは存在しない」という長年の定説をくつがえしました。

また尿の放出がオスの社会的地位のアピールにもなっている可能性があるという新しい発見も得られました。

魚のコミュニケーションや繁殖戦略の理解が大きく進んだと言えます。

この発見は、生態学だけでなく、水産資源の管理や繁殖制御技術の開発にもつながる可能性があります。

恋の駆け引きは、魚の世界でも“声”と“におい”の二刀流です。人間もうかうかしていられませんね。

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雄メバルは「鳴いた」後、雌に「おしっこ」をかけて求愛していた (2/2)のコメント

ゲスト

やる前からぶっかけと…。

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