なぜ食物繊維や夕飯のタイミングや量が睡眠と関係するのか?

なぜ食物繊維や食べる量、食べる時間が、睡眠や心臓の鼓動にまで関係してきそうなのでしょうか?
まず注目したいのが、腸の中にいる細菌たちの存在です。
食物繊維は、人間の消化酵素ではほとんど分解できませんが、腸内細菌にとっては大事なエサになります。
食物繊維が多い食事をすると、腸内細菌はそれを発酵させて「短鎖脂肪酸」と呼ばれる小さな物質を作ると考えられています。
短鎖脂肪酸そのものは聞き慣れない言葉ですが、イメージとしては「体の中の小さな炎症をおさえたり、自律神経のバランスを『休む側』に少し傾けたりするメッセージ」のようなものだと考えられています。
自律神経には「アクセル」と「ブレーキ」のような二つのはたらきがあります。
アクセル側は心臓を速く打たせたり、筋肉を動かす準備をしたりするはたらきで、ブレーキ側は心臓をゆっくりにしたり、消化や修復を進めたりするはたらきです。
食物繊維が多い日には、短鎖脂肪酸などを通じて、このブレーキ側のはたらきがほんの少し強まり、その結果として夜の心拍がわずかにゆっくりになり、深い眠りや夢を見る眠りに回せる時間が数分ほど増えている可能性も考えられます。
もちろん、「短鎖脂肪酸がこれだけ増えたから必ずこうなった」というところまで、この研究だけで証明できているわけではありません。
しかし、腸内細菌や短鎖脂肪酸が睡眠や心臓のはたらきに関わる可能性を示した他の研究と合わせると、一つの筋の通った説明候補にはなります。
「どれくらいの種類の植物を食べたか」という指標についても、似たような考え方ができます。
豆、野菜、果物、穀物、ナッツなど、いろいろな植物性食品を少しずつ食べた日には、寝つきが数十秒ほど早くなり、夜の心臓のドキドキもわずかにおだやかになる傾向がありました。
植物の種類が多い日ほど、ビタミンやミネラル、ポリフェノールといった、体を支える成分が少しずつバランスよく入っている可能性があります。
こうした成分は、体の中での化学反応をスムーズにし、体の「さびつき」や炎症をおさえる、いわば“応援グッズ”のような役割を持っています。
その応援グッズがうまく配られることで、ストレスへの耐性や自律神経のブレーキ側のはたらきが、わずかに良い方向へ整えられ、その結果として「寝つきが少し早くなり、夜の心拍も少し落ち着く」という形で表れているのかもしれません。
では、「いつ、どれくらい食べたか」という時間と量の違いはどう考えればよいでしょうか。
夕食をたっぷり、しかも遅い時間に食べると、胃や腸、肝臓などは寝ているあいだも「消化」という大仕事を続けなければなりません。
体にとっては「まだやることが残っている」状態なので、「もう少し長く寝て回復したい」という信号が出やすくなる一方、その仕事を支えるために心臓はやや速めに動き続ける必要があります。
これが「睡眠時間は少し長くなるが、心臓のドキドキはやや速くなる」という結果につながっている可能性があります。
逆に、夕食を早めに軽く済ませた場合、夜中まで続くような消化の仕事は少なくなります。
体は「消化の仕事は早めに片づいたから、心臓はゆっくりしていてよい」と判断しやすくなり、心拍は落ち着きやすくなる一方で、エネルギーの余裕が少ないぶん、睡眠時間は少し短くなることがあってもおかしくありません。
ただ今回の研究は食物繊維や夕食を食べる時間について、脳回路レベルで調べられたものではなく、相関関係を丁寧に調べ上げた末の結果となっています。
それでも、食物繊維や夕飯を食べる時間を睡眠の質や心拍数などと結び付けたのは大きな成果と言えるでしょう。
食物繊維や植物性食品を増やすことは、もともと腸や心臓の健康のためにも良いとされることが多い習慣であり、多くの人にとってリスクの小さい工夫です。
今回の結果は、そうした習慣に「もしかしたら睡眠にも少し良いかもしれない」という意味を付け足してくれるものだと言えます。
もしかしたら未来の世界では、今日の食事記録と睡眠のデータがアプリで繋がれ、「今夜はもう少し繊維と植物を増やしてみませんか」「今夜は夕食を少し早めにしてみませんか」といった提案してくれるかもしれません。





























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