■マリアナ海溝における地震活動の調査の結果、これまで考えられていた「3倍」の水量がプレートとともに地球内部に飲み込まれていたことが判明
■とはいえ長い間海面レベルに大きな変化はないため、飲み込まれた水は何らかの形で地球表面に戻っていることが考えられる
■これまでその循環方法は、火山の噴火の際の水蒸気によるものと考えられてきたが、今回の研究結果を前提にするとそれだけでは足りない計算となる
世界で最も深い海溝であるマリアナ海溝における地震活動の調査により、地球内部へと沈み込むプレートが、これまで考えられていた「3倍」もの量の水を地球内部へと引きずり込んでいることが明らかになりました。
Water input into the Mariana subduction zone estimated from ocean-bottom seismic data
プレートを構成する岩は、特定の温度において一定の圧力がかかると海水と化学反応を起こし、湿った「含水鉱物」として水を取り込んで地球の内部へと運びます。そうしてプレートが沈み込むゾーンにて、地球が水を「飲み込んでいる」ことはこれまでにも知られていましたが、その量がどの程度であるのかは分かっていませんでした。
そして今回の研究により地震活動をイメージングしたところ、マリアナ海溝における含水鉱物のエリアが海底から20マイル(約32キロメートル)にまで延びていることが示されました。これは以前考えられていた数字よりもずっと大きなものであり、そこに含まれる水の総量も相当のものであることがうかがえます。
マリアナ海溝に限って言えば、これまで考えられていた「4倍」の水量が地球内部に飲み込まれていることになります。そして、研究者らがこの結果を世界中の海溝に当てはめてみたところ、海水の流入は海底から60マイル(約96キロメートル)を越えるマントルの位置にまで達していると考えられ、これはこれまでに考えられていた「3倍」の量であるとのことです。
しかし、それだけ大量の水を飲み込んでいる地球ですが、長い年月の中でその海面レベルに大きな変化はありません。これは、飲み込んだ水が地球の内部に蓄積されているわけではなく、絶えず外部に放出されていることを意味しています。
その方法について科学者たちは、火山の噴火の際に大部分の水が「水蒸気」として地球表面に戻ってきていると考えています。しかし、この新たな研究による見積もりによれば、その方法では地球が「飲み込む水の量」のほうが大幅に上回ってしまうことになります。このように、今回の研究がいくつかの関連研究の「再検討」を促す可能性があると言えるでしょう。
この研究にアドバイザーとして参加した Douglas A. Wiens 教授は、場所をマリアナ海溝から北へと移し、アラスカにて同様の実験を進めています。これによって、プレートが沈み込むゾーンは場所によって「水を飲み込む量」を変化させるのかを確認する予定です。