根深い中国のドナー問題
上記のようなギャップは、刑執行直後の死刑囚の遺体からすぐに臓器を無断摘出していることが原因です。それだけでなく、中国政府により強制的に収容された「良心の囚人」と呼ばれる罪なき人たちから、生きたまま臓器を摘出していたことも関係しています。
そのせいか、中国では待機リストに乗ってから実際に移植を受けるまでの期間が極端に短くなっています。一般的に、臓器提供を受けるには、ドナーがいつ亡くなるか予測できないことやドナーと血液型が一致しなければならない問題もあるため、少なくとも2、3年は待機しなければなりません。しかし、中国では数週間も待てば臓器提供が受けられてしまうのです。
実際、中国まで行って移植を受けた日本人も数多くいますが、その中には、術後のケア不足や移植の失敗により亡くなっている人まで発生しています。もちろん、日本人だけでなく世界中から臓器提供を求めて中国にやってくる患者は現在でも増え続けているのです。この深刻な問題に対して、2017年に「欧州議会」が中国政府に対して、非合法な臓器摘出を非難する文書を正式に通知しました。
中国政府も「囚人からの無断摘出」に同意したのですが、現在の年間移植件数を鑑みると非合法な臓器提供は続けられている様子。倫理を重要視しない中国医療の闇はもっと深いのでしょう。
reference: theguardian / written & text by くらのすけ