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初の快挙!宇宙で最初の「分子化合物」を特定

2019.04.19 Friday

Credit:theguardian
Point
■宇宙で最初に誕生したと考えられる「水素化ヘリウムイオン」という分子の特定に初めて成功
■最初期に誕生した化合物のため、星や銀河の形成に大きな影響を与えたと考えられる
■天体望遠鏡を高度1万3700mにまで持っていくことで、鮮明な観測を可能にした

初期宇宙形成の解明に一歩近づく快挙だ。

1970年代から続けられていた「水素化ヘリウムイオン(HeH+)」の探索。「水素化ヘリウムイオン」は宇宙で初めて誕生した化合物であると考えられていたために、星や銀河誕生の謎を解く鍵であると期待されていた。しかし数十年の探索もむなしく、現在に至るまで一度も見つかっていなかった。

ここにきて、マックス・プランク研究所のRolf Güsten氏と研究チームが「宇宙空間で初めて水素化ヘリウムイオンの特定に成功した」との快挙だ。研究は4月17日付けの「Nature」に発表された。

Astrophysical detection of the helium hydride ion HeH+
https://www.nature.com/articles/s41586-019-1090-x

宇宙形成の鍵「水素化ヘリウムイオン」

「水素化ヘリウムイオン」はヘリウム原子と陽子からなる化合物で、「宇宙最初の分子」だと考えられるのには理由がある。

ビッグバン直後の宇宙には、鉄や炭素といった重い元素が存在しなかった。最初にあったのは水素やヘリウムのような軽い元素だ。

そして宇宙が徐々にクールダウンしていく過程で、ヘリウム原子と陽子が互いにくっついて「水素化ヘリウムイオン」ができたと推測されている。

Credit:pixabay

「水素化ヘリウムイオン」が星の形成に関わったとすれば、星が寿命を終える際に放出されるガスの中に含まれているはずと研究チームは考えた。星から出るガスは大きくなり、「ネビュラ(星雲)」となる。

つまり必然的に「ネビュラ」が探索のターゲットとなるわけだ。

こうして研究チームは長年の苦戦を乗り越えて、地球からおよそ3000光年離れた「NGC7027」という惑星状星雲の中に、微量ながらも「水素化ヘリウムイオン」を特定することに成功した。

次ページ特定に長年苦戦してきた2つの理由とは

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