実験結果はオタクコンテンツ無双?
論文は2つの研究からなっている。
1つ目の研究では、日本人成人の男女(20歳〜59歳)800人を対象にインターネット調査を行った。質問したのは、白昼夢の頻度、幸福感、マインドフルネスの程度、アニメやゲームにどの程度お金を費やしているか(オタク消費)だ。
その結果、マインドフルネスあるいはオタク消費の多い人では、白昼夢の頻度が多いほど幸福感が高いことが分かった。これは2010年の先行研究に一部反する結果だろう。
第2の研究では、上記アニメのイラストを見せたあとに「白昼夢の頻度」と「幸福感」について質問に答えてもらった。するとアニメのイラストを見せた後のほうが、白昼夢の頻度が高いほど幸福感が高いことが分かった。
この手法は心理学でいう「プライミング」という方法で、一瞬目に入った情報がその人が気づかぬうちにその後の認知に影響する現象を指す。
つまり、質問の内容とは関係のないイラストが気づかぬうちに、白昼夢の経験を思い出して質問に答えるときに影響したと考えられるのだ。
これはそのまま「オタクコンテンツが幸福感にプラスの影響を与えた」と取れる。頭の中で何かを考えるときは、批判的な思考から逃れるための現実逃避の手段がある程度必要なのかもしれない。
つまり白昼夢が幸福感につながる2つの条件とは、1つは自分を批判的に見ない傾向の人で、マインドフルネスの高い人。そして2つ目は、自分の好きなアニメやゲームの登場人物と空想上で恋愛を楽しんだりできるオタクな人なのだ。
ちなみに研究者は、白昼夢がアニメやゲームなどを楽しむ作法として海外に「輸出」できると主張している。「瞑想」と同じノリで「アニメ妄想」講座が開かれたりする未来が見えるような見たくないような。
とにかく妄想が多いオタクは、妄想するほど幸福度が上がる可能性があるということで、かなり朗報な研究なのは間違いない。