急速な生理的・生態的変化に追いつくための断熱材
この発見は、2019年に中国で新たに見つかった2体の翼竜の化石研究がきっかけでもたらされた。ひげの多くが枝分かれしていることから、それらが実際には羽毛であることが判明した。
恐竜、翼竜、そしてその仲間たち。これらの生物が存在した三畳紀前期の世界は、かつて経験したことのない破滅的な大量絶滅から回復真っ最中の時代だった。彼らは、ほぼ完全と呼んでも良いほどの絶滅の危機をかろうじて生き延びることができた生存者だったのだ。
この際に新たに生まれた爬虫類は、地面を這う代わりに垂直に歩き、骨の構造から成長が早く、体温も高かったことを、古生物学者たちはすでに突き止めている。その頃には、哺乳類の子孫にも毛が生えていた。
急速な生理的・生態的変化に追いつけるよう、羽が断熱材として機能した可能性は高い。見た目上の機能や戦いに用いる道具としての羽の役割は、ずっと後になってから生じたもののようだ。

はじめに羽があり、そのずっと後に鳥が生まれた。自分の腕の毛を眺めつつ、悠久の進化の歴史に想いを馳せる…。そんな日があってもいいかもしれない。