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常識だった「鳥のフンが落ちにくいのは尿酸のせい」を覆す新事実が発覚

2019.09.28 Saturday

Credit: depositphotos

Point

■鳥のは、壁や車にひっつくと容易に洗い落せないが、その原因はずっと糞に含まれる「尿酸」のせいだと言われていた

■この鳥の糞をX線解析した結果、通説となっていた成分「尿酸」が含まれていないことが明らかとなった

■分析結果では他に未知の物質2つが検出されており、この特定を含め、鳥の腸内細菌叢について我々にとって未知の問題が多く残されていることを示した

壁や車の塗装に張り付き、金属部分を腐食させる鳥の糞。洗っても落ちづらいこの白い物体、新車に引っ付いていた日には、アメリカ人じゃなくても「Shit!」と叫びたくなるでしょう。

そんな鳥の糞ですが、なかなか洗い落とせない理由、白いペースト状である理由、金属を腐食させる理由などは、ずっと主成分が尿酸であるためだと説明されてきました。

しかし、この考えに疑問を抱いた研究者が6種類の鳥の糞についてX線分析を行った結果、驚くべき新事実が明らかとなったのです。

なんと、当たり前にその主成分とされていた「尿酸」が鳥の糞には含まれていないことがわかったのです。

この研究は、テキサス大学オースティン校の科学者Nick Crouch氏により発表され、鳥類学専門ジャーナル「Journal of Ornithology」に8月5日に掲載されています。

A re-evaluation of the chemical composition of avian urinary excreta
https://link.springer.com/article/10.1007/s10336-019-01692-5

鳥はおしっこをしない

Credit:pixabay

「鳥の糞」と連呼しましたが、実際鳥の白いペースト状のものは糞ではなく「おしっこ」に当たるものです。

鳥は空を飛ぶために、重い水分を不必要に保持することを嫌います。そのため通常の生物が行うような、アンモニアを尿素に変え、水に溶かして排出するというおしっこはしません。

ではフンに含まれる白い物体の正体は何なのでしょうか。従来の説明では、おしっこのその代わりに非水溶性の、より複雑な化合物の尿酸を作り出して体外へ排出すると言われていました。糞の掃除が大変なのは、これが大変水に溶けにくい性質を持っているからなのです。

…というのが、これまで鳥の糞における常識的な説明です。

こうした解説は、鳥についてググればいくらでも見つかります。それだけ当たり前の考え方だったのです。

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