Point
■2007〜2017年におけるアメリカの若者の自殺率は、人口10万につき6.8人から10.6人に増加(56%増)
■SNSやネット社会の台頭が自殺の原因と考えられるが、ネットにはポジティブな側面もあり断定はできない
「増え続ける若者の自殺をいかに止めるべきか」は、メンタルヘルスや医療従事者にとって大きな問題ですが、10年間で自殺率は急増しています。
アメリカ疾病予防管理センターの調査によって、同国内の10歳〜24歳の自殺率は、2007年〜2017年において56%も増加していることが分かりました。
これは人口10万人につき6.8人だった自殺者比率が、10.6人に増えたことを意味します。自殺率は世界中で着実に増加しているものの、若者の自殺率は他の年齢層に比べて飛び抜けている状況です。
特定できない自殺原因
ついにアメリカでは、若者の死亡原因で、自殺が殺人や事故を上回る状態となりました。このように自殺率が急増した原因について、専門家の間では意見が別れています。
まず挙げられるのが、社会構造の急変による個人化の流れやSNS・ネット・スマホの台頭です。さらに、ネット社会の発達に伴ういじめの悪質化や睡眠不足による不安障害なども考えられます。
一方でSNSやネットは、それ以前にはなかった新たな社会的つながりの一助となることもあり、一概に自殺の原因と断定することはできません。
アメリカ国立精神衛生研究所 (National Institute of Mental Health)のリサ・ホロウィッツ氏は、「自殺の急増に対して早急に対処するべきだ」と指摘します。
「もし新たな伝染病や感染症で子供たちが突然、自殺率と同じペースで命を落とし始めたら、政府や国民からはすぐに対処の声が上がるでしょう。しかし、自殺の急増に関しては、ほとんどの人が起きていることすら認知していません。人々は、自殺が現代社会にとって大きな危機となることを認識していないのです。」
わが国日本でも、自殺は若年層(15歳〜24歳)の死因第1位となっており、この問題への対処は急を要します。未来を担う子供や若者が生きにくい世の中であってはならないのです。