ケムケム、地獄の戦場と化す
そして、とうとうこの地は、陸・海・空、すべての領域からヤバイ奴が集まる地獄の戦場と化しました。
それは、ケムケム層から出土した化石が物語っています。
例えば、「カルカロドントサウルス」です。
この恐竜は、体長12〜13メートル、体重6〜15トンに達し、口内にはノコギリ歯がびっしり生え揃っています。名実ともに、ティラノサウルスに匹敵するどう猛な肉食竜です。
それから、「デルタドロメウス」。
体長8メートルと大柄なわりに、スレンダーで脚が長く、かなりの俊足を誇りました。学名のデルタドロメウスとは、「三角州の疾走者」を意味しています。
身軽な運動神経を生かして、草食恐竜などを獲物にした恐ろしい奴です。
その他にも、空を主戦場とした翼竜や川べりに住む大型ワニの化石も出土しています。
このことから、研究主任のニザール・イブラヒム博士は「この時期の西サハラは、間違いなく、史上もっとも危険な場所であり、もしそこに居合わせたら1分ともたないでしょう」と話します。