マラリア感染から蚊を守る仕組みは「ライバル殺し」
研究者は次にマイクロスポリディアMBがどのようにしてマラリア感染を防いでいるかを調べました。
その結果、マイクロスポリディアMBを体内に持っている蚊は、持っていない蚊に比べて遺伝子の活性度が高いく、盛んにタンパク質を生産していることがわかりました。
そのためマイクロスポリディアMBを持っている蚊は成長が早く、高い回転率で次世代を生み出すことができます。
また特に活性が高かった遺伝子の中には、抗菌作用のあるタンパク質が含まれていました。
このことからマイクロスポリディアMBは、蚊の免疫力を高める益虫だったことがわかりました。
自分を殺す作用のある抗菌物質の生産を加速させることは、マイクロスポリディアMBにとって不利なように思えますが、自分が殺される以上にライバルの寄生体が死ねば、最終的に宿主の体を独占することができます。
その排除されるライバルの中には「マラリア」も含まれていたのです。
マイクロスポリディアMBを使ったマラリア排除は、蚊にとって自然なだけではありせん。
マイクロスポリディアMBを使ったマラリア排除は対決の構図を「人類」VS「マラリア+蚊」から「人類+蚊」VS「マラリア」に変更することができます。
そして対決構図の変化は、今まで敵として殺してきた蚊(特に蚊の免疫力)を人類の味方に引き込むことを可能にします。
人類と蚊は長年の敵でしたが、マラリアに対しては共闘が実現するでしょう。