巨大な鳥の飛び方
アホウドリは、海洋のコンドルというべき大型の鳥ですが、彼らは飛行中の14%はゆっくりと羽ばたきをしています。
コンドルの飛行時間の1%しか羽ばたかないという結果は、これよりはるかに少ないものです。
大きな鳥は羽ばたくとき、じっと翼を広げているときの約30倍近いコストを消費すると考えられています。
人間の扱うグライダーも動力などを持たず、気流だけを利用して飛び続ける飛行機です。
グライダーは条件が良ければ、一日中上昇気流を捕まえて長時間飛び続けることができます。
こうしたグライダーの飛行距離の世界記録は3000kmに達するといいます。
コンドルなどの大型の鳥の飛行も、基本的には同じ原理で、高度の維持には強い上昇気流を利用します。
こうした巨大な乗り物が滑空だけで飛び続けるのを考えると、コンドルが滑空で飛び続けることはそこまで不思議なことではないようにも思えます。
しかし、グライダーのパイロットは慎重に天候を読み、それが飛行に適した天気がどうか判断した上で、飛行を行います。
自然のコンドルにそんな贅沢はできません。彼らは常に食べ物を見つけるために、天候や季節に関わらず毎日飛行しなければならないのです。
彼らがもっともコストを払うのは離陸時ですが、着陸にもかなり繊細な動作が必要になります。
彼らは常にどこへ着陸するかということを慎重に選んでいます。
上昇気流から別の上昇気流へと移動して、エサのある場所へ近づきたいとき、気流と気流の間に距離があれば彼らは羽ばたく必要が出てくるでしょう。
このとき彼らは予期せぬ着陸を強いられるリスクも高くなります。
しかし、研究ではコンドルが気流の激しい山岳地でも、強風が吹き荒れ上昇気流の条件が良くない冬の飛行でも、まったく羽ばたかないルートを進んでいることを発見しています。
彼ら巨大な鳥は、目に見えない気流やその障害を正確にナビゲートする方法を持っているようです。
今から800万年近く前のアルゼンチンには、コンドルよりもはるかに大きい体重が70kgを超える巨鳥アルゲンタヴィスがいたと言われています。
この鳥は、翼を広げると7m以上もあり、それは小型軽飛行機のセスナ機と同等のサイズです。
巨大な鳥たちがどのように気流を見極め、着陸と離陸を最小限のコストで実現しているかを理解することは、こうした古代の羽ばたく飛行はほぼ不可能だったと考えられる巨鳥の存在を理解するためにも重要な知見になるでしょう。
この研究は、イギリスのスウォンジー大学の研究者H. J. Williams死を筆頭とした研究チームより発表され、論文は『米国科学アカデミー紀要:PNAS』に7月13日付けで掲載されています。
https://doi.org/10.1073/pnas.1907360117
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