5年及ぶ観測の成果
NASAのフェルミガンマ線宇宙望遠鏡は、3時間ごとに全天を調査する大面積望遠鏡(LAT)を使って3千を超える活動銀河を発見しています。
今回報告されている活動銀河「TXS 0128」も、こうしたフェルミガンマ線宇宙望遠鏡の調査によって、5年前に発見されました。
発見された活動銀河のほとんどはジェットが地球の方向を向いているため、強力な信号として検出されます。しかし「TXS 0128」はジェットが地球を向いていなかったため、他の活動銀河より信号が10万分の1も弱い状態でした。
そのため「TXS 0128」は活動銀河としては、比較的地球に近い位置にあったにもかかわらず、5年の年月を費やしてデータを蓄積してから報告する必要があったのです。
次に研究者たちは、この活動銀河をVLBAという電波望遠鏡で観測しました。
VLBAはハワイからプエルトリコまで米国各地に配置されたアンテナネットワークで構成される電波望遠鏡です。
この観測により、これまでの100倍近く詳細に銀河を見ることができ、今回の研究者がスター・ウォーズの戦闘機を思い浮かべるような形状まで確認されたのです。
観測では、翼のような電波ローブの構造は35光年に及んでいて、地球の視線方向に対して約50度傾いていることがわかりました。
銀河の形状は観測する周波数で変わって見えます。このTIEファイターの形状は6.6GHzから出現するそうです。
この銀河は傾いていたため、ジェットの光が位置によって時間差で地球に届きます。
これはジェットがまっすぐ地球を向いていた場合より貴重な観測対象です。この作用によって、時間的な変化を確認することができるからです。
この活動銀河のジェットは分析の結果、約90年前に始まり、約50年前に停止していました。しかし、およそ10年前に再びオンになりコアの近くで放出が始まったようです。
こうしたブラックホールのジェットが突然オンになったりオフになったりする原因は、現在のところわかっていません。
さらなる調査が、こうした謎を解明する機会を増やしていくことでしょう。