数値シミュレーションによるM87 *の1年間の変化を表すアニメーション。
数値シミュレーションによるM87 *の1年間の変化を表すアニメーション。 / Credit: G. Wong, B. Prather, Ch. Gammie, M. Wielgus & the EHT Collaboration
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ブラックホールの影は”揺れている”と判明!長期観測データから発見された未知の性質とは?

2020.09.28 Monday

昨年ブラックホールの撮影画像が公開され、世界に驚きをもたらしたイベント・ホラインズン・テレスコープEvent Horizon Telescope、以下EHT)ですが、このときの研究成果を活かして過去の観測データも改めて分析が行われました。

その結果、ブラックホールの影は一定ではなく、ぐらぐらと揺らぐように時間変化していることがわかったのです。

この結果は未公開だった観測データを含め、9月23日の『The AstrophysicalJournal』に掲載されています。

ブラックホールにはまだ我々の知らない未知の性質が秘められているようです。

Credit: EHT https://eventhorizontelescope.org/blog/wobbling-shadow-m87-black-hole , Phys https://phys.org/news/2020-09-analysis-black-hole-reveals-shadow.html

EHTとブラックホールの長期観測データ

2019年に公開されたM87*の画像。
2019年に公開されたM87*の画像。 / Credit: Event Horizon Telescope Collaboration

ブラックホールの初めてとなる撮影画像が2019年に公開されましたが、これは2017年に行われた1週間分の観測データをまとめて作成されています

しかし過去の記事でもお伝えしたように、EHTによるブラックホールの観測はもっと以前から行われていていました。

EHTは単独の望遠鏡のような呼ばれ方ではありますが、実際は世界中の望遠鏡のネットワークの総称で、大量の観測データからブラックホールの姿を明らかにするプロジェクトを指す名前でもあります。

参加する天文台は年々増えていて、その観測の精度もあがっています。

EHTに参加する世界の天文台の変化。
EHTに参加する世界の天文台の変化。 / Credit: M. Wielgus, D. Pesce & the EHT Collaboration

こうした参加天文台の拡大によって、昨年にはブラックホールの姿を画像として再現することに成功したのです。

今回の研究では、2019年に発表した研究成果を使って、2009年から2013年に集められた観測データを改めて分析しました。

このときの観測は、2017年の使われたものよりはるかにデータ数が少ないため、画像作成は不可能ですが、ブラックホールのいくつかの特徴を明らかにすることができました。

そこから確認されたのは、これまで知られていなかったブラックホールの時間変化だったのです。

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