ディープフェイクの荒波に対処するには?
エドワーズ氏は、ディープフェイクによる記録改ざん対策もいくつか提案しています。
1つはディープフェイクツールへのアクセス制限です。現在でも既に米国とヨーロッパの政治家はディープフェイクツールを違法にしようと呼びかけています。
しかし全面的な禁止は難しいかもしれません。現在の様々な芸術は同じようなAI利用によって爆発的に促進されているからです。
エドワーズ氏は、この点を「印刷機が偽の歴史について書いた本を印刷できるとして、印刷機自体を非合法化することと同じ」だと指摘しています。
また、現在行われているAdobe、Twitter、The New York Times、BBCなどの共同の取り組み「Content Authenticity Initiative(以下、略称:CAI)」が効果的かもしれません。
CAIとはデータの作成者と出所を確認するためのデジタルメディアに添付できる暗号化されたタグシステムのことです。
これにより、コンテンツが特定のソースによって作成されたことを証明でき、作成者が信頼できる場合はコンテンツが本物である可能性も高くなるのです。
さて、これまでの情報をすべて考慮すると、対策がいくつかあるにも関わらず歴史的記録の将来は危ういと感じるかもしれません。
エドワーズ氏は「先には荒波がある」としつつも、「その時代を生き残るために私たち全員が歴史の価値を認識し、理解することが大切だ」と述べています。
創造性を刺激するためにディープフェイクが生まれましたが、今後は歴史を守るために、私たちの知恵や技術力を用いる必要がありそうです。