音楽は脳内ネットワークを広く活性化させる
脳の動きを見てみると、音楽をする子どもには「中央実行系ネットワーク」にかかわる脳領域が強く活性化していました。
中央実行系ネットワークは、注意のコントロールや処理情報の配分といった高次の認知活動をつかさどります。
このネットワークは、言語的短期記憶(音声で示された単語や文章などの情報)の貯蔵庫と連動することで情報処理を行います。
音楽をする子どもたちは、この連動が活発であるために優れた認知機能を示していたのです。
さらに、聴覚機能にかかわる脳領域も、音楽訓練を受けた子どもの方が活発でした。これには、下前頭回と縁上回が含まれ、どちらも聴覚処理とワーキングメモリの働きに関係しています。
その上、感覚情報と言語を処理するのに重要な領域である「視床」も強い活性化を示しました。
この結果から、音楽訓練は、認知機能を向上させるのに非常に有効であると結論できます。
また、カウゼル氏は「ADHD(注意欠陥・多動性障害)を持つ子どもたちの注意や記憶力の向上にも、音楽トレーニングが効果的と思われる」と指摘しました。
子どものうちから楽器を習うことで、柔軟なモノの考え方や創造力を獲得できるかもしれません。