意識の研究
意識については、現在もさまざまな研究が行われていますが、未だに科学者たちはその正体を突き止められずにいます。
意識の発生源は脳内で発生する量子的なゆらぎであるとする主張や、脳内の視床内部における厚さ3ミリの脳組織であるとする研究など、さまざまな議論が交わされています。
目を開き覚醒状態にあるにもかかわらず、外部の刺激にはまったく無反応な無反応覚醒症候群という症状(以前は植物状態とも呼ばれていた)があります。これは脳に損傷を受けた人に稀に発生する症状です。
2005年、当時イギリス・ケンブリッジ大学の神経科学者オーウェン氏のチームが交通事故でこの症状を発症した女性に対して、口頭で質問を行いそのときの脳の活動をfMRIで観察しました。
このとき「テニスをすることを想像して」と質問したところ、彼女の脳の一部(運動野など)が活動するのが観察されました。同じ質問を健康な被験者にしたところ、彼らも同じ脳の領域が活動していたのです。
これは昏睡状態で反応を示さない人でも、一部の人々は会話を理解していて、コミュニーケーションを取ることもできる可能性を示唆していました。
無反応でも意識を検出できる、となるとますます脳の活動と自由意志の関連性は難しい問題になってきます。
これは科学的な意味でも、倫理的な意味でも容易に決定することが難しいテーマなのです。