重力マイクロレンズ効果で探す自由浮遊惑星
私たちが系外惑星を探す場合、それは所属する星へ及ぼす重力的な影響(視線速度法)や、星の前を横切ることで光を遮る食(トランジット法)を利用しています。
自らはほとんど光を発することもなく、恒星に比べればはるかに小さい惑星を遠くの宇宙から見つけ出すには、近くの恒星の助けが必要なのです。
では、どの星系にも属していない孤独な惑星は、一体どうやって発見すれば良いのでしょう?
これにはアインシュタインの一般相対性理論の効果で生じる現象「重力レンズ」を利用します。
これは巨大な質量の物体が地球の観測者と、遠い天体の間を通過するとき重力によって背後の天体の光を偏光させて虫眼鏡のように集める現象です。
これによって遠い天体の光が、一時的に増して見えるのです。
もっとも惑星レベルの重力では、生み出される重力レンズはささやかなものです。そのため自由浮遊惑星を発見するためのこの方法は「重力マイクロレンズ法」と呼ばれています。
また、光を曲げる物体が小さければ小さいほど、星の明るさが変化する時間は短くなります。
木星の数倍の質量を持つ惑星の場合、数日ほど背後の天体が明るくなることがありますが、地球サイズの場合は数時間以下しか効果が続きません。
広い宇宙からこのささやかな変化を見つけ出すのは非常に骨の折れる作業です。そのため、これまでは木星の数倍以上の自由浮遊惑星が、僅かな数発見されているに過ぎませんでした。